手入れの行き届かない公共の緑地に、隣接地に本社屋と基幹店舗を構える民間事業者が価値を見いだした。緑地との一体利用が可能な形で自社敷地を整備。行政と連携しながらイベントを開催している。公共空間を活用した賑わいの創出に力を入れている大阪市大正区と、DIY用壁紙の販売会社フィルの取り組みを追う。
大阪市大正区は区全体が川や海に囲まれている。それらに面する水辺を貴重な地域資源とし、地域活性化に生かそうとしている。
大正区は今年4月、オンラインショップ「壁紙屋本舗」や輸入壁紙専門店「WALPA」を運営するフィル(大阪市大正区)と、「大正DIYマーケット」を共催した。2015年11月に続く2回目で、いずれも会場はWALPAの旗艦店「WALLPAPER MUSEUM WALPA」と、同店に隣接する「大正内港臨港緑地」を一体的に活用した。
「大正DIYマーケット」の開催時には、フィルの敷地と臨港緑地の境界の柵の扉を開放し、臨港緑地と連続させた。このイベントはフィルの本社新築移転と「WALLPAPER MUSEUM WALPA」が2015年11月にグランドオープンしたのを記念して開催したのが始まり。今年4月の2回目ともども大正区と共催という形をとったが、主導するのはあくまでフィルだ。同社の呼びかけによりDIY業界で有名な、感度の高い出店各社が集まり、ワークショップを開くなどした。1回目はオープン前に100人ほどの行列ができ、2回目も2日間で約5000人の来場者があった。