• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

記事一覧

岡崎市、民間の力を生かす水辺整備が本格始動

山本 恵久=日経アーキテクチュア【2015.10.28】

「ケンプラッツ」2015年10月8日付の記事より

 愛知県の中央部に位置する人口38万人の自治体・岡崎市で、まちづくりの推進役に建築家を起用する意欲的な取り組みが進んでいる。

 市が新設した乙川(おとがわ)リバーフロント推進課による「まちづくりデザイン事業」(通称:おとがわプロジェクト)では、市の関連部署および民間のステークホルダー(利害関係者)が同席する「官民連携調整会議」が9月に発足し、会長職に藤村龍至氏(藤村龍至建築設計事務所代表、東洋大学建築学科専任講師)が就任。並行し、商工労政課による「リノベーションまちづくり事業」が進み、来春2月のリノベーションスクール開催に向け、これを主導する清水義次氏(都市再生プロデューサー、アフタヌーンソサエティ代表)、嶋田洋平氏(らいおん建築事務所代表)が10月14日、市内で講演などを行う。

まちづくりデザイン事業の第一歩として2015年8月に実施したワークショップ「岡崎デザインシャレット」の様子。デザインコーディネーターを建築家の藤村龍至氏が務め、最終公開講評には、建築家の内藤廣氏(東京大学名誉教授)を招いた(写真:日経アーキテクチュア)
[画像のクリックで拡大表示]

 上位の事業に位置付けられる「乙川リバーフロント地区整備計画」は、中心市街地を東西に貫流する乙川の水辺空間などを活用するための5カ年事業。地区面積137.6ヘクタールを対象とし、総事業費99億7000万円を見込む。河川など市内の空間資源を活用し、観光都市を目指して様々なインフラを整備する計画だが、巨大な開発のみが先行するのでは、市民の生活と遊離しかねない。地元NPOの尽力で立ち上がったまちづくり事業はその危機意識から動き始めたもので、2010年代に入って進展した新しいまちづくり手法と、それを担う建築家ら専門家の実践が問われる場となる。

 乙川の水辺空間の活用は、市にとって積年の課題。事業費の確保、広範な関係者の合意形成の面で課題があり、40~50年の間棚上げになっていたという。

 現在第1期の内田康宏・岡崎市長は、政策の継承を重視し、市長選挙の公約の柱にリバーフロントの整備を掲げ、2012年10月に当選。就任後の13年4月には、公民連携組織の「岡崎活性化本部」(NPO法人21世紀を創る会・みかわ)を商工会議所内に設置した。同市長は、市民対話集会、講演会、パンフレットの全戸配布などを通じ、「考えられる限りの手法を使い政策の周知に努力してきた」、それでも「おいそれと一般の市民に周知徹底などできないものである」と、不断の努力の必要性を自身のブログで説いている(15年7月16日付け)。

 岡崎活性化本部が提出した乙川リバーフロント地区整備「基本方針のための提言書」を受け、14年3月に同「基本方針」、15年3月に同 「基本計画」を制定し、この8月に「乙川リバーフロント地区整備計画」として公表した。その中では、乙川の水辺空間の整備、中心市街地の活性化を目的とし、「コンパクトシティの形成」や「観光産業都市の創造」、そのための「官民の緊密な連携」を図るとうたっている。

 これらの検討を経て市は、「社会資本整備総合交付金」のための計画提出、「『かわまちづくり』支援制度」のための登録申請を国に対して行った。同市社会資本総合整備計画によると、整備計画の示す総事業費99億7000万円のうち交付対象事業費は64億6400万円(内定している要求金額32億3200万円、交付率50%)となっている。また、かわまちづくり支援制度とは、地域の個性やニーズに対応した河川事業の展開を図るため、市区町村の役割が大きい場合に国が登録を行うもので、岡崎市を事業主体とする「乙川リバーフロント地区かわまちづくり」(計画名)については、2015年3月に登録認定が下りている。

「乙川リバーフロント地区かわまちづくり」概要図。「乙川リバーフロント地区は、名古屋鉄道本線の東岡崎駅にほど近く、岡崎市の中心市街地を流れる矢作川水系乙川である。この地区では乙川、岡崎公園及び都市空間の景観整備や観光拠点としての可能性を引き出すこと、水辺空間の活用、交通インフラの改善、まちづくり・街のリノベーションの促進が課題となっており、都市空間と水辺空間を一体的に整備し、回遊性を確保し、観光拠点となる賑わいの場を創出するように整備を行う」と事業概要を記している(2015年3月27日付け、国土交通省発表資料より)(岡崎市「乙川リバーフロント地区整備計画」参照)
[画像のクリックで拡大表示]

「かわまちづくりの流れ」(2015年3月27日付け、国土交通省発表資料より)。国は、「観光などの活性化に繋がる景観・歴史・文化等の河川が有する地域の魅力という『資源』や地域の創意としての『知恵』を活かし、地方公共団体や地元住民との連携の下で立案された、実現性の高い河川や水辺の整備・利活用計画による、良好なまちと水辺が融合した空間形成の円滑な推進」を目的に、「かわまちづくり」支援制度実施要綱をまとめ、2010年4月に施行している( 国土交通省「かわまちづくり」支援制度実施要綱参照)
[画像のクリックで拡大表示]

乙川の現況(写真:日経アーキテクチュア)
[画像のクリックで拡大表示]

中心市街地を貫流する乙川には明代橋、殿橋が架かる。その中間に人道橋の新設を計画している(写真:日経アーキテクチュア)
[画像のクリックで拡大表示]

土木学会が近代土木遺産に選定した殿橋(写真:日経アーキテクチュア)
[画像のクリックで拡大表示]

戦後の戦災復興土地区画整理事業によって整備された「中央緑道」。籠田公園と乙川を結ぶ約300mにわたって緑地帯が続くが、車道を挟んで街区ごとに分断され、活用が進んでいなかった(写真:日経アーキテクチュア)
[画像のクリックで拡大表示]

企画・運営
  • 日経BP総研
健康ソリューション

<新設!>医療、福祉、スポーツ、ウォーキング、食育……「健康」と地域活性化を結び付けた取り組みが活発化しています。


お知らせ

記事サーチ

都道府県別記事一覧

「新・公民連携最前線」の掲載記事を都道府県別にご覧いただけます。「地方創生」「CCRC」「コンセッション」など注目キーワードの記事一覧も用意しました。

ページトップへ