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事例研究

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水道検針で高齢者の見守り、雲南市

住民組織の発案から始まった新事業

真部 保良=日経アーキテクチュア編集委員【2015.7.14】

※「日経コンストラクション」2015年6月8日号「まちづくり未来形 第28回」を転載

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水道メーターを確認している検針員。「躍動鍋山」が職員として雇い入れているので、労災の適用も受けられる(写真:躍動と安らぎの里づくり鍋山)

災害発生を想定した高齢者支援体制が、絵に描いた餅になることなく、本当に働くのか──。そんな問題意識をもった島根県雲南市内の住民組織が、高齢者との接点を増やす機会として水道検針に着目。市から検針業務を受託し、高齢者に声を掛けながら巡回している。

 出雲空港から南に車で約30分の島根県雲南市鍋山地区。月1回、家々を訪ねる水道検針員が端末機から出力された紙を持って玄関に回り、「まめなかねえ(お元気ですか)」と家人に声を掛ける。同地区の住民たちによる地域自主組織「躍動と安らぎの里づくり鍋山」(略称「躍動鍋山」)が2012年4月から行っている「まめなか君の水道検針事業」だ。

 事業は市から受託した検針業務だけでなく、災害発生時に支援を必要とする高齢者への、日ごろの見守りを兼ねているところがミソ。むしろ後者が主たる目的だ。

 14年度時点で、地区には420戸、約1500人が暮らしており、4割弱の約540人が65歳以上。そのうち約30人が要支援者として登録されている。要支援者のなかには、水道を引かず井戸水や谷川からの水だけで生活している人もいる。躍動鍋山が職員として雇っている検針員は、そんな水道メーターのない家も訪問し、声を掛けていく。

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水道検針のステッカーを張った車で家々を回る。市の保健師(中央の女性)が同乗することもある(写真:躍動と安らぎの里づくり鍋山)
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保健師が同行する場合は、血圧を測定したり健康相談に乗ったりする(写真:躍動と安らぎの里づくり鍋山)

 家人からの世間話が尽きず、5分、10分と時が過ぎていくこともしばしば。1日に回れる戸数が減れば躍動鍋山の収益としてはマイナスになるが、効率は追求しない。

 検針員を務めるのは元郵便局員や地域組織の役員など、地元のいわゆる顔の広い人たちが中心となっていることもあり、住民は安心して彼らを迎え入れている。「独り暮らしの人たちにとても喜ばれている」と躍動鍋山の秦美幸会長は話す。

 水道使用量が前月より急に増えていたら、家人に使い方の変化があったかどうかを尋ね、なければ漏水の恐れがあると水道局に伝える。人通りのほとんどない市道が傷んでいることを検針員が発見することもあり、その場合は建設部に連絡を入れる。要支援者の見守りは、市のインフラの見守りにもつながっている。

 「これまで行政ができなかった部分をカバーしてくれている」と、同市地域振興課の藤本万葉氏も、活動を高く評価する。

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