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プリカで生活保護費を支給、大阪市が5月に国内初の実証を開始

井出 一仁=日経BPイノベーションICT研究所【2015.6.26】

大阪市は、生活保護費の一部をプリペイドカードで支給するモデル事業を5月に開始した。2013年12月に成立した改正生活保護法で、受給者に自身の収入や支出の状況を適切に把握することが義務付けられたのを契機とした、全国初の取り組みである。市は生活支援のツールの一つに位置付けて対象者への案内を続けているが、現時点の利用者は58人にとどまっている。

 生活保護費の一部をプリペイドカードで支給するという、全国初の試みが5月に大阪市でスタートした。行政機関や自治体では、税金や公共料金の「収納」と、物品やサービスの「調達」に関しては、住民の利便性向上や行政事務の効率化を目的に、地方自治法の指定代理納付者の制度などを活用して、現金ではなくクレジットカードや電子マネーを利用できるようにする取り組みが各所で広がっている。ただ、「給付」にカードを利用する事例はこれまでなかった。2016年3月末までのモデル事業ながら、今回の大阪市の取り組みが初のケースである。

 モデル事業では、生活保護費のうち、食費・被服費・光熱費などの日常生活に必要な費用を支援する「生活扶助費」をプリペイドカード支給の対象としている。プリペイドカードの利用を希望した受給者に対し、大阪市がプリペイドカードを貸与。生活扶助費の全額ではなく、一律3万円を毎月チャージ(入金)する。カードはVisaブランドの加盟店なら、実店舗でもインターネット上のEC(電子商取引)サイトでも、クレジットカードと同様に使える。モデル事業の実施に当たって大阪市は、事業の企画を担当する富士通総研、カード発行に関わるシステムと業務を担当する三井住友カードとの間で協定を締結した(図1)。

図1●モデル事業の実施体制
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生活扶助の年間支給額は全国最多の1000億円

 大阪市の生活保護費の支給額は、年間約2900億円に上り全国で最多。生活扶助費は約3分の1の1000億円を占める。2008年のリーマンショック後に“派遣切り”などの影響で生活保護の受給者が増加し、もともとは高齢者支援の意味合いが強かった制度ながら、若い受給者も増えていった。そうした中で、支給された生活扶助費をギャンブルや過度の飲酒に費消する受給者がいることについて、市民の中から「もとは税金なのにいかがなものか」という指摘が出てきた。

 大阪市は、2010年度に市職員から「生活保護費予算を有効活用した電子決済の普及促進について」という提案があったことを契機に、生活扶助費の適正な利用を促す観点から電子マネーの利用の検討を始めた。当時の健康福祉局(現・福祉局)と計画調整局で、電子マネー会社9社に対しヒアリングをするなど、事業化の検討を進めた。

 しかし、利用できる店舗数が限られる、第三者による一斉チャージができない、カードの紛失・盗難時の保障がない、購入履歴を確認できない、カードの転売・偽造のリスクが高いなどの課題を解決できる見込みが立たず、結局は実施を見送った。

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