• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

キーパーソン登場

記事一覧

被災の記憶をどう残し、どう伝えるか

井出明 追手門学院大学経営学部准教授に聞く

聞き手:黒田 隆明【2015.10.21】

災害からの復興過程では、生活再建、産業再建は最重要課題だ。同時に、長期的な視点からは、被災の記憶をどう残し、伝えていくかを考えていくことも地域においては重要なテーマだ。日本におけるダークツーリズム(戦争や災害の跡などを対象とし、人類の悲しみを承継し亡くなった方をともに悼む観光形態)研究の第一人者である追手門大学の准教授に、公民連携という視点も交えて話を聞いた。

[画像のクリックで拡大表示]
(写真:編集部)

――災害復興では、生活の再建、産業の再建が重要なのはもちろんですが、被災の記憶をどう伝えていくかということも大切です。そこに民間の知恵や資金などがどのような形で生かせるのか、まずはお聞きしたいと思います。

[画像のクリックで拡大表示]
土石流被災家屋保存公園のパンフレット(資料:長崎県)

 災害遺構の活用では、民間の力を活かしやすいかもしれません。長崎県南島原市にある道の駅「みずなし本陣」内には、1990年の雲仙普賢岳の噴火(1996年に噴火終息宣言)の際に土石流の土砂に埋もれた被災家屋を保存・展示した「土石流被災家屋保存公園」があり、賑わっています。火砕流、土石流の破壊力のすさまじさを映像体験できる「大火砕流体験館」も同じ道の駅内につくられました。近くの雲仙岳災害記念館(がまだすドーム)が火山について科学的に学ぶコンテンツが中心なので、地域の具体的な被害を展示した道の駅と相互補完の関係にあると言えます。

 新潟県中越地震で大きな被害を受けた旧山古志村(現在は長岡市)では、ボランティアや見学に来た人たちと地域の人たちとの間に交流が生まれたのですが、復興後も元気な姿を見てもらおうと中越大震災復興基金を活用した農家レストランがオープンしました。このほかにも地域の人たちがそばや山菜の天ぷらを振る舞ったりといったもてなしの仕組みが拡大しつつあります。これも公と民の連携の一つの形ですよね。

――東日本大震災の被災地についてはどうですか。

 東日本大震災は広い範囲で被災したことが大きな特徴です。ところが、震災遺構の保存の動きを見ていると、各市町村の点をつないでコンテクストにするということをやっていない。そこが気になっています。

 被災地はそれぞれ災害の構造が違います。行政のトップや職員が多数亡くなっているところ、避難指示ミスで犠牲者が出たところなど、それぞれに背負うべきコンテクストが違う。ツーリズムという観点から考えると、各遺構を車で回っていった時に、それぞれの学びのコンテクストをつくっていくと連携効果が出てくるのですが、今のところそうした動きはないようです。

――遺構間を結ぶようなツアーをビジネスとして成立させようとするときには、民間の知見も役立ちそうです。

 そうですね。それと、震災遺構を活用する時に、ただそのまま置いておくだけではなく、駐車場やトイレを整備したり、献花台をつくったりといったことも必要になるでしょう。そういったときに、例えば道の駅をつくってきたノウハウを導入して半官半民のような残し方も考えられるのではないかと思います。

企画・運営
  • 日経BP総研


お知らせ

記事サーチ

都道府県別記事一覧

「新・公民連携最前線」の掲載記事を都道府県別にご覧いただけます。「地方創生」「CCRC」「コンセッション」など注目キーワードの記事一覧も用意しました。

pickup

ページトップへ