• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

キーパーソン登場

記事一覧

公民連携のポイント:行政は民間と同化してはいけない

大阪市大正区長 筋原章博氏に聞く

聞き手:真部 保良、長井 美暁=ライター 構成:長井 美暁=ライター【2016.9.15】

(写真:長井 美暁)
[画像のクリックで拡大表示]

民間との連携で公共空間の活性化に取り組む大阪市大正区長の筋原章博氏。過去の失敗の経験を生かし、一過性の集客イベントに終わらせるのではなく、地域経済が循環する仕組みづくりを目指す。そして、官民の境界をあいまいにする補助金の利用に警鐘を鳴らす。

――大正内港臨港緑地と、隣接する壁紙販売会社フィルの敷地とを一体的に使ったイベント「大正DIYマーケット」を開催しましたね(関連記事)。どのようなきっかけで実現したのでしょう。

今年4月の大正DIYマーケットのパンフレット(資料:フィル)
[画像のクリックで拡大表示]

 「大正DIYマーケット」には2日間で5000人以上の来場者がありました。若い人たちがたくさん来て、周囲の工場や商店の人たちが驚いていました。このような公共空間のリノベーションには、前から興味がありました。フィルの濱本廣一代表とも、リノベーションの集まりで知り合ったのです。

 緑地は放っておくと、あっという間に草ぼうぼうになります。高度経済成長期につくり過ぎた公共施設は、箱ものに限らず公園や緑地も、今後ますます人口が減って税収の維持が厳しくなっていくと、全国各地で管理しきれないという問題が発生するでしょう。大正内港臨港緑地は市の港湾局の所管で、財源不足で管理が行き届いていなかった。なんとかしたいと、かねがね思っていたところでした。

 なので、フィルが大正区に移ってきてくれたのは非常にうれしかった。しかも、臨港緑地も合わせて面白い空間にしたいと意欲的です。濱本さんは壁紙を仕入れるために、頻繁に欧米を訪れています。リノベーションの先進事例もよく知っていて、「大正区は(新進のアーティストたちが集まる)ニューヨークのブルックリンに似た要素がある」と言ってくれました。

――「大正DIYマーケット」の開催は現行ルール内で実施できましたが、ここは公園や河川敷よりも規制が厳しい場所です。今後、どうやって活性化させていきますか。

 臨港緑地は港湾法と海岸法に縛られ、公民連携の自由度が低いのは事実です。今、考えているのは民間事業者に貸し付けるという正攻法です。その実現のために社会実験によって実績を重ねていくつもりです。その後は事業者公募の形をとって、臨港緑地を部分的に事業者に貸し付ける形で財源を生み出し、全体の管理はその事業者と連携しながら進めていく、という方式を考えています。

 緑地などの公共空間の利用についていろいろな禁止事項があるのは、何を心配しているのかというと、近隣住民からの苦情であったり、特定の事業者への利益供与ではないかと思われたり、といったことです。しかし、地域の公益になることであれば、近隣や企業の皆さんも理解してくれるはずです。ですから我々行政は、公益性の合意をつくり出すことが大事です。公益性が認められれば、ハードルはどんどん下がっていきます。

 時代の移り変わりとともに、住民が求める公益性も変わっていきます。事業者がやりたいことの中から住民が納得する公益性を見つけ、それを引き出して分かりやすく示すことが行政の仕事です。

 とはいえ、正直なところ、港湾局だけで管理していても、なかなか人は集まりません。「大正DIYマーケット」が盛況だったのも、ひとえにフィルのセンスのおかげだと思っています。民間のセンスで臨港緑地もマネジメントしてくれたら、人の集まる場になるでしょう。

企画・運営
  • 日経BP総研


お知らせ

記事サーチ

都道府県別記事一覧

「新・公民連携最前線」の掲載記事を都道府県別にご覧いただけます。「地方創生」「CCRC」「コンセッション」など注目キーワードの記事一覧も用意しました。

pickup

ページトップへ