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日米でこれだけ違う、まちづくりの資金調達

京都府立大学京都政策研究センター長 青山公三氏に聞く

聞き手:黒田 隆明 構成:介川 亜紀=ライター【2015.4.23】

エリアの地権者などからまちづくり資金を税金や分担金として集め、そのエリアの運営組織の活動原資として再配分するBID(Business Improvement District、ビジネス活性化地区)。日本ではこの4月に大阪市で類似の制度がスタートしたばかりだ(関連記事:まちづくり資金を市が徴収、「大阪版BID」が始動)。BIDに限らず、まちづくりに民間の資金を取り入れる公民連携の仕組みづくりは米国が大きく先行している。関連研究の第一人者である京都府立大学京都政策研究センター長の青山公三氏に話をきいた。

「米国の都市開発は、民間の人たちが出資したくなるような条件をつくるのがうまい」と語る青山氏(写真:福尾 行洋)
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――米国のBIDでは、どのような活動が行われているのですか。

 ルーティンでやらなければならない清掃や警備のような共通した作業もありますが、BIDには、そのエリアに新たな魅力をつくり出すような事業を行うことが求められます。

 米国ニューヨーク市の例を2つほど紹介しましょう。マンハッタン南部、ワールドトレードセンターがあった付近の金融街で活動するBID推進組織に「アライアンス・フォー・ダウンタウン・ニューヨーク」という非営利団体があります。金融業界は1987年のブラックマンデー以降90年代初頭まで証券不況が続き、当時の空室率は平均で35%を超えていました。これをなんとかしなくてはいけないということで、このBID組織が中心になって空室対策を始めました。

 90年代初頭はインターネットが普及し始めていた時期だったことから、空室対策としてIT企業を誘致しようと考えたのですが、当時、マンハッタンのダウンタウンのオフィスビルはITインフラが整っていませんでした。そこでBID組織が市と組んで、ビルオーナーたちに優遇措置を打ち出しました。ITビルへのリノベーションに使う資材の消費税売上税を全額免除したり、電力会社と交渉してITビルに改修したら電気料金を半額にしたり、あるいは、リノベーションして上昇した固定資産税については10年間免除したりといった策を打ち出し、IT関連企業の誘致に成功しました。

 ミッドタウンのオフィスビルに囲まれた場所にブライアントパークという市の公園があります。かつては麻薬の売人のたまり場で治安の悪い場所でしたが、BID組織が改修・再生しました。今はビジネスマンや観光客の憩いの場になっていて、冬季はアイススケート場になることで有名です。

一般的なBIDの仕組み。地権者など受益者から自治体が「税金」を徴収して、そのエリアのまちづくり会社の資金として再配分する(資料:大阪市)
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ブライアントパークのウェブサイト。公園内を自由に持ち運びできる椅子が有名だ。これにより利用者の公園の使い方に多様性が生まれた
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 米国のBID組織は、一般的に受益者から集めた税金が収入の8割から9割程度を占めるのですが、ブライアントパークのBID推進組織の場合は13%程度です。レストランや売店のレンタル収入が15%、公園をスケート場や無料開放のイベントなどに使う使用料が全収入の約50%を占めています。市ではいろいろな条件を緩和しているので、公園で様々なことができるのです。場所は限られますが、お酒も飲めます。

 市の公園なので市民が等しく利用できるようにしなくてはならないため、スケート場の入場料自体は無料です。ただし、スケート靴の貸し靴産業などのお店を運営して、活動のための収益を得ていたりもしています。

――大阪版BIDの場合、BID組織への補助金は公物管理にしか使えませんが、米国では「BID税」を様々な用途に使えます。そうなると、よりBID組織の企画力、運営力が問われますね。

 ビルオーナーの集まりであるBID組織は、必ずしも街を活性化するノウハウを持っているわけではありません。そこで、専門スキルを持つ民間のマネジメント会社に運営を委託しています。ここで紹介した2つのBID組織のほか、グランドセントラル駅ののBID組、タイムズスクエアのBID組など、ニューヨークの有名なBID組織もそうです。

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