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社会的インパクト投資で特別養子縁組の推進目指す、横須賀市と日本財団

黒田 隆明【2015.5.19】

 横須賀市は、日本財団と「ソーシャル・インパクト・ボンド(社会的インパクト投資)」を活用した取り組みを開始した。4月15日に両者が協定を結び、特別養子縁組の推進を目指すパイロット事業を開始、1年間で4件の特別養子縁組の成立を目指す。両者によると社会的インパクト投資の実施例は日本初だという。

 社会的インパクト投資とは、行政サービスを民間投資によって先行実施し、成果に応じて行政が対価を支払う仕組み。社会的課題の改善と公的コストの削減を目指すために実施する。2013年6月の主要8カ国(G8)首脳会議でキャメロン英首相の呼びかけにより、各国に政府関係者や専門家からなる組織が設けられたことで注目高まった。海外では既に実績もあり、例えば英国では刑務所で再犯防止プログラムを実施して再犯率を下げ行政コストを削減して、投資家に還元予定の例などがある。今回の横須賀市の取り組みはパイロット事業のため、成果が出ても横須賀市から日本財団への対価の支払いは発生しない。

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ソーシャル・インパクト・ボンド(社会的インパクト投資)の仕組みと、今回のパイロットプロジェクトの仕組み
社会的インパクト投資では、自治体などが集めた資金で、NPOなどの民間事業者が社会的な事業の改革を実施、それによって生じる行政経費の節減分の一部を債券を購入した投資家への対価として支払う。自治体の税金支出が減少するとともに、社会的事業の効果も高まり、投資家にとっては新たな投資先が生まれるという一石三鳥のメリットが期待される(資料:日本財団)

 特別養子縁組とは、原則6歳未満の子どもと実親側の親子関係を消滅させて養親子関係を家庭裁判所が成立させる縁組制度(今回のパイロットプロジェクトは生後3カ月未満が対象)。日本財団が出資し、一般社団法人ベアホープが横須賀市内での妊娠相談に関する広報・啓発、望まない妊娠をした実母からの相談窓口対応、妊娠中・出産後の実母フォロー、養子縁組希望者とのマッチング、手続きのフォローを行う。

 日本財団によると、産みの親が育てることのできない子どもは日本に約4万人おり、そのうち約85%が施設で暮らしている。行政による里親委託は2013年度実績で約4600人と、海外主要国と比較して日本は施設で暮らす子どもの割合が高く2008年には国連から現状改善の勧告を受けている。日本での養子縁組希望者や里親希望者は1万人程度いると推計されており、養子縁組への適切なサポート活動が不足しているのが実状だ。また、施設入所児童には学習の遅れ、退所後の自立の難しさ、愛着障害などの課題があり、養子縁組を増やすこと自体に社会的意義があるという。

 一方、横須賀市では2つの児童養護施設のほか市外の施設も利用するなど、行政の負担が大きくなっている。施設養護から家庭養護への移行を推進して施設で預かる児童数が減ることでコストを削減できる。

<訂正> 初出時に「投資家に還元した例」と記述しましたが、「投資家に還元予定の例」に訂正しました。(2015年6月1日12時50分)

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