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「義務教育学校」に先駆け、全校を小中一貫にした理由

多久市長 横尾俊彦氏に聞く

聞き手:井出一仁=日経BPイノベーションICT研究所【2016.5.19】

改正学校教育法の施行に伴い、2016年4月から小中学校9年間の義務教育を一貫して行う「義務教育学校」の設置が可能になった。佐賀県多久(たく)市は3年前の2013年4月に全国に先駆け、市内すべての小中学校で小中一貫教育へ移行した。移行の経緯や成果、今後の展望・課題を横尾市長に聞いた。

(写真:諸石 信)
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――多久市の小中一貫校は、この2016年4月に法制化された「義務教育学校」とは別物なのでしょうか。

 3年前から多久市で行ってきた「小中一貫教育」と新制度の「義務教育学校」には、本質的な違いはないと思っています。これまで多久市でやってきたことが国の制度として整備されたと受けとめています。

 実際、2013年から2年間は、文部科学省の「小中一貫教育校による多様な教育システム調査研究」の指定都市に選ばれ、国立教育政策研究所に各校を訪問していただくなど、制度化に大きく関わることができました。

 法制度の整備によって、市の取り組みについてすっきりと説明ができるようにもなりました。これまでは、国・県に届け出た学校名と新設した名称が混在していたり、小中9年間の計画などの書類を小学校と中学校に分けて作成する必要があったりと、煩雑だったのが解消します。

 法制化に伴い、2017年4月に義務教育学校に移行することを目指しており、議会や地区のPTAには説明を始めています。9月議会に条例案を提出する予定です。9年間のカリキュラムを今よりも柔軟に作れるとか、「多久学」のような独自科目も作れるようになるのではないでしょうか。現在の名称は「小中一貫校 東原庠舎(とうげんしょうしゃ) 中央校・東部校・西渓校」ですが、「義務教育学校 東原庠舎 中央校・東部校・西渓校」とする計画です。

中央校の銘板(写真:諸石 信)
「東原庠舎(とうげんしょうしゃ)」は旧藩校の名称を引き継いだ。庠舎とは中国語で地方の小さな学校の意。
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学校再編がやむを得ない中での選択

――国の法制化に先駆けて小中一貫教育に取り組んだ背景にある思いや考えは。

 もともとのきっかけは、2004年度に公表した第7次行政改革大綱(2005年度~2010年度)の中で示した「学校規模適正化」に関する深い検討からです。少子化で児童生徒数が減少して、学校行事やクラブ活動の運営に制約が加わることを避けるとともに、学校教育内容の充実や施設運営の効率化を図るというのが検討指示の趣旨でした。

 ただ、行革というと無理やり縮小するような話になりがちですが、それは違うだろうと考えました。多久には儒教の創始者である孔子をまつった「多久聖廟」があり、300年を超える文化、芸術、教育、学術を大事にする気風があります。それを、よりよく伸ばさなければいけないというのが底流にある考えです。

 もう一つあるのは、学力向上の課題や、小1プロブレム・中1ギャップと呼ばれるステップアップする際の難しさ、その結果として表れる不登校などの問題への対応です。子どもたちの知育・徳育・体育のためのよりよい教育とは、どのようにあるべきかを考えました。

――検討の結果、従来の小学校・中学校をそのまま残すのではなく、統廃合を伴う小中一貫校を設置する判断に至ったわけですね。

 人口減少社会の中で、生徒数が1桁台の小さな学級を守っていくという考え方もあるでしょう。しかし、学校の先生の意見を聞くと、教育の現場では児童生徒が数多くの多様な意見に触れていくことも非常に大事とのことでした。スポーツでは、卓球やバスケットボールまではできるけど、野球だと人数が足りなくてチームが組めないということも出てきます。

 保護者の方からは、同じ竹馬の友として忘れがたい幼友達というのは、ある程度の数がいないと、将来の同窓会のときも寂しい思いをするといった話も聞きました。

 学校の再編はやむを得ないとしても、子どもたちのためのよりよい教育をつくっていくために何ができるかを思案した結果として出てきたのが、小中一貫教育を導入しながら学校再編を実施するという方向性です。

 再編は再編として、小中一貫教育の中身をいかによくするか。21世紀の時代に合う教育、ICT教育、学力向上、あるいは心もケアしながら育むこと、地元のことをよく知って地域にプライドを持つことなどを、しっかりやろうということになったわけです。これは私の一存というよりは、教育委員会や検討委員会でよくよく議論をさせていただいて、その方向に収束していったということです。

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