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細野透 「危ない建築」と「安全な建築」の境目を分けるもの建設

細野透:三井不動産はなぜウソをついたのか──傾いたマンション問題の波紋(1/5ページ)

2015.10.26

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住民の心を傷つけた三井不動産の罪深い行為

 マンションを傾斜させた旭化成建材の罪深い行為に続いて、今回は三井不動産レジデンシャルの罪深い行為についても指摘しなければなりません。建物の不具合が発覚した当初、住民は三井不レジを信頼して相談したのに、同社はどういうわけかウソをついて住民を突き放し、その心を傷つけてしまいました。ユーザーからクレームを受けたとき守らなければならない「4つの基本手順」に反して、なぜこのような罪深い行為を行ったのでしょうか。

 初めにマンション大手7社、すなわち三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス、野村不動産、住友不動産、東京建物、東急不動産、大京からなる「メジャーセブン」が、毎年行っている「新築分譲マンション購入に際しての意識調査」を紹介します。

 この調査では「こだわりたいポイント」「マンション購入を検討する理由」などをユーザーにアンケートしています。その中で「建物の耐震性」が毎年、何位になっているのかをピックアップすると、驚くような結果になりました。

 2005年1月─5位
 2005年11月「耐震偽装事件」発覚
 2006年1月─2位
 2007年1月─14位
 2008年1月─16位
 2009年2月─16位
 2010年3月─15位
 2011年2月─17位
 2011年3月「東日本大震災」
 2012年2月─8位
 2013年2月─9位
 2014年2月─7位
 2015年2月─9位

 2005年11月に「耐震偽装事件」が発覚した後、「建物の耐震性」に関する関心は一気に高まって、その翌年の2006年1月の調査では実に2位にランクされたのです。

 10年間の調査のうち建物の耐震性が2位にランクされたのは2006年1月だけです。意外なことに、東日本大震災の翌年の2012年2月に行われた調査では、建物の耐震性は8位に上がっただけでした。要するに耐震偽装事件の直後は、歴史的に見て、ユーザーは建物の耐震性に最も敏感になっていたのです。

 マンションが傾いた「パークシティLaLa横浜」の杭工事は、耐震偽装事件の広がりと並行するかのように、2005年12月から2006年2月に進行。それに続いて春頃から販売が始まり、翌2007年には建物が完成しました。

 2006年1月に、メジャーセブンは「マンション購入時の比較検討ポイント」のランキングも発表しています。

 1位─管理会社が信用できる。
 2位─大手不動産会社が分譲する。
 3位─周辺環境が自然に恵まれている。
 4位─大手建設会社が施工する。

 三井不動産レジデンシャル系列の管理会社は高く評価されていますし、三井不レジは大手不動産会社ですし、周辺には緑がありますし、「パークシティLaLa横浜」を施工した三井住友建設は業界13位ですので準大手に入っています。しかもLaLa横浜のパンフレットには、「基礎・構造を初め、クオリティの高い施工を実現する」「杭基礎に支えられた荷重を、直径約35~70センチの既製杭により、強固な地下約10~19メートルの支持層に伝えています」と明記されています。

 耐震偽装事件にショックを受けたユーザーが、三井不レジという会社およびパークシティというブランドを信用して、「LaLa横浜」を選択するのは自然な流れだったのです。

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