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細野透 「危ない建築」と「安全な建築」の境目を分けるもの建設

京都の下鴨神社、「糺の森」にマンションを建てる(1/5ページ)

2016.08.29

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50年間の定期借地権付きマンション

 日本で今、最も注目されているマンションを取材するため、京都に行ってきました。名前は「ジェイグラン・ジオナー下鴨糺の杜」。下鴨神社は「古都京都の文化財」として、1994年に世界遺産に登録されましたが、マンションの敷地は道路を1本はさんで、世界遺産の区域外となっています。

 広く注目される理由は、「糺(ただす)の森」と「住の作法」にあります。

 この森は下鴨神社の境内に広がる原生林で、東京ドームの3倍に相当する約12ヘクタールの広さがあります。ケヤキやエノキなどニレ科の落葉樹を中心に、約40種の樹木が生育。また御手洗川、泉川、奈良の小川、瀬見の小川と呼ばれる4本の小川が流れています。

赤色のエリアがマンションの敷地。その北側、緑色のエリアが世界遺産の区域
出町柳から「糺の森」の方向を見る。左側が賀茂川、右側が高野川(写真:PIXTA)

 しかし、下の写真に示すように、赤線で囲まれたエリアは駐車場や研修道場として使われていました。また落葉樹(ニレ科)以外に、常葉樹も増えていました。つまり森は荒れていたのです。

赤線で囲まれたエリアがマンションの敷地

 そのため下鴨神社は「糺の森整備計画」を用意したのですが、今度は資金不足という難題に直面しました。

 下鴨神社はそもそも、21年ごとに約70棟の社殿などを修復・新調する「式年遷宮」を行い、1回の遷宮には約30億円の費用がかかるとされています。けれども、2015年4月に行われた34回目の遷宮では、国から出る補助金と企業からの寄付などを合わせても、必要額を満たすことができませんでした。

 こういう苦境を抜け出すために、下鴨神社が打ち出したのが「定期借地権付きマンション」方式です。

 (1)境内に定期借地権付きマンションの建設を認める
 (2)マンション購入者は下鴨神社と約50年間の定期借地契約を結ぶ
 (3)借地期限が切れたら、マンション所有者は建物を解体し、更地にして返却する
 (4)下鴨神社はその地代を、森の整備および遷宮の費用に充てる

 下鴨神社は定借マンションを建設する事業をJR西日本不動産開発、設計・施工を竹中工務店に依頼しました。

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