寝起きのぼんやりは「睡眠慣性」

 睡眠時間が同じでも、スッキリ目覚める日とそうでない日がある。寝起きの感覚はどのようなメカニズムで変化するのだろうか。前出の三島和夫氏は、「覚醒直後に眠気や気怠さが強く残り、頭はぼんやりして、疲労回復感がないことがある。睡眠科学の世界では、このような睡眠から覚醒状態に切り替えができない一過性のぼんやり状態を睡眠慣性(sleep inertia)とか睡眠酩酊(sleep drunkenness)と呼ぶ」と解説する。

 睡眠慣性の状態では思考がうまく働かず、刺激に対する反応速度も低下するため、自動車運転など注意力を必要とする行為はしないほうがいい。運転中に眠気を感じてパーキングエリアで仮眠を取ることはいい心がけだが、目覚めた直後に運転を再開すると危ない場合があるという。

 米国で行われたある実験では、9名の健康被験者(平均年齢29歳)が3週間にわたって毎日8時間の睡眠をとり、睡眠不足を十分に解消したのち、実験室で再度寝てもらい、目覚めた直後から認知機能テストを開始し、その後24時間にわたって2時間おきに同じテストを行った。

 その結果、覚醒直後の成績は最も悪く、徹夜明けよりも大幅に低い水準だった。睡眠慣性による認知機能の低下は短時間では回復せず、覚醒から1時間たってもピーク時(覚醒後2時間超)の80%台にとどまり、眠くなる夕方や深夜帯と同水準であったという。
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