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安田菜津紀の「未来への扉」対談ビジネス

【最終回】「シンプルライフ」という人生もう1つの選択~稲垣えみ子(後編)(1/8ページ)

2016.12.28

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 気鋭の若きフォトジャーナリスト安田菜津紀の「未来への扉」対談シリーズ。元朝日新聞編集委員で「アフロ記者」でお馴染みの稲垣えみ子さんと語る後編は「シンプルライフ」について。
 モノやお金に縛られない生活をしていくには知恵と工夫が必要になるという稲垣さん。そんな稲垣さんが参考にしたのが「江戸時代の貧乏長屋」暮らし。そこには現代人が忘れている豊かなコミュニケーションが存在している。必要なサービスは近所に頼るアウトソーシングという発想で、精神の自由を手に入れることができるという。
 後編ではそうしたシンプルライフの具体的な実践方法と、発想を変えることで生まれる人生の新しい向き合い方について、語り合った。

(構成=高島三幸 対談写真=一井りょう)

前編はこちら


欲しいものなんてないと思った瞬間、心がリッチに

稲垣 物に執着しなくなってから、「生きていくのって、案外簡単なことかもしれない」と思えるようになった気がします。「あなたはこれが足りません。これがないと幸せになれない」と言われているような広告にも目が行かなくなった。既に私は十分なものを持っているし、十分満たされていると思えると、人を羨ましがらないし、嫉妬もしなくなった。逆に人に親切にしたいとまで思うようになりました。

安田 人に親切にしたい、ですか。

稲垣 それまで人に親切にしたいなんて思ったことなくて、むしろそんなことをすると損! と思っていたぐらいです。つまりは、いつも自分のことを1番に考えていた。会社員時代も、他人が良い仕事をしたら悔しいというか、「人の活躍を認めると負けだ」と思うような、そんな競争社会に身を置いていましたから。で、そんな中で自分なりに頑張っていたんです。でも頑張っても頑張ってもゴールがない感じがあって、なんだかずっと苦しかったんですよね。

 ところが自分には既に足りないものなんて特にないじゃん! と思えた時、なんか憑き物が落ちたみたいに心の広い人間になってしまった(笑)。例えば近所にちょっとボーッとしたおじいちゃんがトコトコ歩いてると大丈夫かなあと気になって見守るようになったり、お金を使う時も、自分のためだけじゃなくて、近所の米屋さんと酒屋さんとか豆腐屋さんとか、親しくなったお店のためにお金を使いたいと思うようになったんですね。だって自分が欲しいものなんてほとんどない、もうご馳走も洋服も欲しくない、1日600円もあれば十分満足して食べていけるとなれば、安く買い叩く必要なんてない。むしろ親しい人たちの歓心を買おうと多目に払いたい、みたいな(笑)。

安田 思い出すのは内戦前に出会ったシリアの方々です。私たちから見ると、食料も物もなにもかも不足しているかのように思うけど、本人たちはそう思っていない。物がない環境の中で生活していて、それでいてとてもフレンドリー。私が困っていると、「どうしたの?」「こうすればいいんだよ」って親切にしてくれます。

稲垣 そうなんですか! シリア・・もちろん行ったこともないし、ただニュースで見る危険な紛争地帯というイメージしか持ち得ていないんですが・・うーん、私、シリア人っぽくなってきているのか・・(笑)。なんだか急に親しみが湧いてきました。

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