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IoT時代の安全「Safety 2.0」建設

生産性向上や新市場創出にも貢献する安全の新概念「Safety2.0」(1/4ページ)

2017.01.03

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 新しい安全・安心の時代が幕を開けようとしている。Safety 2.0――。人とモノと環境が協調して従来を凌駕する高次元の安全を築く、日本発の安全革命だ。と同時にこれは、単に安全にとどまらず、様々な分野の、様々な経営課題の解決にも大きく貢献する取り組みである。

Safety 0.0からSafety 1.0、そしてSafety 2.0へ

 これまでの企業の安全への取り組みを振り返ると、大きく2つのステップがあった。1つ目は、KY(危険予知)やヒヤリハット、指差し確認といった訓練によって人の注意力や判断力を磨き、安全を確保してきた取り組みだ。これを「Safety 0.0」と呼ぶ。ただし、人がどれほど訓練を積んだとしてもミスはなくならない上、機械は壊れることから、Safety 0.0による安全確保には自ずと限界があった。

 そこで、欧州が中心になって「人はミスを犯す」「機械は故障する」ことを前提に、機械やシステムなどのモノに対してフェールセーフなどの安全方策を講じることで、安全のレベルを引き上げた。これが2つ目のステップ、「Safety 1.0」である。

 Safety 1.0の基本的な考え方は、人と機械を時間的、かつ空間的に分離するというものだ。時間的分離とは、人が作業するときには機械が停止し、逆に機械が動くときには人が作業をしないという方策。一方、空間的分離とは、人の作業空間と機械の作業空間とを完全に隔離するという方策だ。つまりSafety 1.0では、人と機械を分離した上で、人は人、機械は機械でそれぞれ安全を確保してきたのである。

 Safety 0.0からSafety 1.0へと安全は進化し、一定の成果を上げてきた。しかしここにきて、Safety 1.0の考え方では、安全を確保できない領域が顕在化してきた。第一は、人と機械の共存領域だ。事実、トヨタ自動車の高岡工場では、スペアタイヤの積み込み工程において人とロボットが同じ空間内に入って作業をしている。これは、同社が、人を排除した自動化では、現代の生産活動に必須なフレキシブルな生産への対応が難しいと考えるからだ。今後、自動車に限らず様々な分野の生産活動において、同社のように、人とロボットが共同で作業するケースはますます増えていくのは間違いない。

 ところがSafety 1.0では、こうしたニーズに応えきれない。人と機械、この場合には人とロボットは分離しなければならず、同じ空間の中で同時に作業することは受け入れられないからだ。そこで現在は、産業用ロボットと人との共同作業を可能にする安全基準を別に設けて対応しているのである。

 Safety 1.0の考え方で安全を確保できない第二の領域は、人の領域である。Safety 1.0で、モノ側でも安全を受け持つようになったとはいえ、人が注意力や判断力によって安全を確保するSafety 0.0の領域は依然残る。しかし最近では、熟練者の減少や非正規雇用の増加などによる現場力の低下が浮き彫りになり、日本全体で事故は増える傾向にある。このため人の領域にも、人の注意力や判断力によらない、さらなる対策が求められ始めているのである。

 こうした現代の安全の脆弱領域に対して、解決策を提供するのが、この「Safety 2.0」に他ならない(図1)。

安全の当初の取り組みであるSafety 0.0では、人の注意力や判断力によって安全を確保してきた。一方で、機械の領域や、人と機械の共存領域はリスクが高かった。その次の取り組みであるSafety 1.0では、機械側に安全対策を施すことにより、機械自体のリスクを下げると同時に、人と機械を分離する、つまり人と機械の共存領域をなくすことにより、安全のレベルを引き上げた。ところが最近では、生産性を高めるために人と機械(ロボット)が共存する現場が増えてきたり、請け負い化が進んで現場力が低下したりするなど、Safety 1.0の取り組みでは対応が困難になりつつあった。これをカバーするのが、新しいSafety 2.0である。人とモノと環境が協調することで、人と機械それぞれの領域はもちろん、両者の共存領域の安全も高く保つことが可能になる
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