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オリックス宮内義彦氏が語る「私の経営論」ビジネス

時代遅れの一括採用、入社式、同期研修(1/3ページ)

ベテラン、専門家・・・多様な人材を揃える仕組みを

2017.01.12

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 世の中には数多くの会社・企業があります。では、会社という組織がなぜ、何のために存在できるのかといえば、「経済活動をうまく行っている」からではないでしょうか。企業や会社が手掛ける経済活動が社会に役立つと評価されているからこそ、長年、形態を保って存在しているのです。従って、企業の真のオーナーは国家や社会なのです。そこでは人、モノ、カネといった有限資源を効率的に生かして、価値を生み出し続けなくてはなりません。

宮内義彦(みやうち・よしひこ)氏。オリックス シニア・チェアマン。1960年8月日綿實業株式会社(現 双日株式会社)入社。64年4月オリエント・リース株式会社(現 オリックス株式会社)入社。70年3月取締役、80年12月代表取締役社長・グループCEO 、2000年4月代表取締役会長・グループCEO 、03年6月取締役兼代表執行役会長・グループCEO、14年6月シニア・チェアマン(現任)。

日本型採用の常識は、世界の非常識

 その観点で、日本企業の在り方を考えてみましょう。多くの株式会社があり、特に大手企業は毎年、大勢の社員を採用しています。これが当たり前の光景ですが、実は世界の常識から見ると、かけ離れているのです。まずこの点を知る必要があります。

 毎年4月1日に入社式をして、直ちに新入社員の研修に入る。こうした労働慣習はおそらく日本を除いて、世界でもほとんど例を見ないのではないでしょうか。米国企業にもこのような仕組みはないでしょう。日本企業では当然といっても、明治時代に生まれた伝統的なシステムではなく、戦後に生まれて、根付いたものです。日本の高度成長、つまり工業化社会の進展に伴ってできたシステムでした。しかし、すでに日本経済は、工業化社会から高度なサービスを中心とする知識集約型社会に移行しています。それにもかかわらず、過去のシステムだけが残っているのです。

 振り返ると、日本は1980年代、工業化社会の世界チャンピオンになりました。米国も欧州も、「勘弁してくれ」というくらい、日本の製造業、あるいは日本の輸出産業メーカーは大成功したわけです。安価で、良質で、大量にできた日本製品を世界中に届けて、「世界の工場」としての地位を築いたのです。

 確かに「良質」で「大量」、「低価格」の製品を作るためには、日本独自の採用・研修システムが適していたのです。世界に勝てる工場を経営するには、大学卒の優秀な、そして“同質な人材”を大量に採用する必要がありました。さらに、その人材を“同じ社員”に育てるわけです。なぜなら、東京工場と大阪工場で、品質が異なるのは困るからです。どこに行っても、ぴったり同じものができたほうがいい。そのための「入社式」なのです。その会社の「色」に新入社員を染め上げていく。その会社以外では通用しないけれど、社内では絶対に必要で有用な人材を育てる。

 その象徴が厳粛なる入社式であり、独身寮であり、同期入社での飲み会などだったのです。そうした経験を積み重ねて、極端に言うと自分が勤める会社が世界より大事だという、社内にだけ通用する経営哲学を根付かせる。世間一般が求めるMBA(経営学修士)ではなく、“社内MBA”を増やすことに強さの源泉がありました。

 問題は、その時代はすでに終わろうとしているのに、まだ同じ採用・教育システムを採り続けていることにあります。

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