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神野正史のニュースは「世界史」に学べ!ビジネス

「乙武問題」を契機に、障害者の歴史を振り返る(1/5ページ)

2016.04.20

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『五体不満足』の乙武氏が引き起こした問題

 今回世間を騒がせている不倫問題に限らず、何かと事あるごとに問題を引き起こす乙武洋匡氏。今回は、彼が世間から注目を浴びる一つのきっかけとなった障害者問題について、本コラムのコンセプトである歴史的背景に加え、“自らの体験”も踏まえて考察していきます。

 「自らの体験も踏まえて」というのは、筆者もまた生まれつき右腕が動かない、いわゆる身体障害者の一人ですので、健常者の眼ではなかなか気がつきにくい側面から障害者を考察することができるためです。

 まず最初に歴史的に見ていくと、障害者は差別的な扱いが多かったことは否めません。

“劣性遺伝子”の排除を徹底したスパルタ

 たとえば、古代ギリシアのスパルタ市の場合。ここは何と言っても「スパルタ教育」で有名ですが、実際その名にふさわしく、すさまじい教育が行われていました。

 生まれた子は「国の宝」として、親に育てる権利は与えられません。まだ一番あまえたい盛りの7歳になると親元から離され、共同生活に入って厳しい軍事訓練が施されました。

 食事はあえて十分な量を与えないようにし、足らない分は町に出て窃盗するように仕向けておきながら、もし窃盗が見つかり捕らえられれば、ムチ打ちの刑に処されました。これは「盗みを働いた罪ゆえの罰」ではなく「盗みを見つかったドジに対する罰」でした。

 成人して美しい女性を娶(めと)るためには、ライバル同士決闘してこれを勝ち抜かなければなりません。どうしても決闘に勝てない男が結婚したい場合、誰もライバルがいないような醜女(しこめ)を選べばいいかと言えば、実はそれすらも許されません。なんとなれば、そもそも容姿の醜い者は男女問わず結婚する権利すら与えられなかったためです。

 このようにスパルタ教育とは、「徹底的に“優性遺伝子”を残し、“劣性遺伝子”を排除するための選抜が常に行われる教育」だったのです。こうしたやり方は、生まれた瞬間から始まっており、生まれたばかりの赤子は長老たちによって身体検査が行われ、万一身体に障害がある場合は、「役立たず」としてその場で殺されました。

(写真:@yasshhy / PIXTA)

 もし私が古代スパルタに生まれていたら、いきなり生きる権利も与えられることなく問答無用で殺されていたことになります。

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