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この形態には魔法があった…ダイソン開発者が明かすコードレス掃除機飛躍の核心(1/5ページ)

2017.06.06

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2011年にスティック型コードレス掃除機「DC35」を発売し、同カテゴリーを切り開いてきたダイソン。今や日本市場では「全コードレス掃除機のうち半分以上がダイソンで、金額では60%を超えている」(ダイソン日本法人の麻野信弘社長)という。掃除機全体で見てもコードレス製品は成長を続けており、伸びしろのある分野。そこへたたみかけるように、同社はハイエンド「V8」と前モデル「V6」とのすき間を埋める「V7シリーズ」を新たに投入した。もはや家庭内のメーンの座をキャニスター型から奪いつつあるコードレス掃除機において、ダイソンはどのような発想でさらなる進化を目指すのか。噂される「全固体電池」の搭載は…。来日したダイソンの開発責任者に話を聞いた。(聞き手/酒井 康治=nikkei BPnet)

コードレス掃除機が浸透した2つのブレークスルー

――現在、スティック型コードレス掃除機の成長がこの市場全体をリードしています。日本では、2017年はキャニスター型と比較しても4割以上はコードレスが占めると言われています。つまり、もはや家庭のメーンの掃除機は、コードレスに取って代わられつつあると考えていいでしょう。その市場をリードしてきたダイソンにとって、勢いのあるコードレス掃除機をどうとらえているのか教えていただけますか。

ジョン・チャーチル氏(以下、チャーチル氏):ダイソンは2011年に投入した「DC35」がスティック型コードレス掃除機の出発点となります。それまでのコードレス掃除機は妥協すべき点が多すぎて、市場性はありませんでした。ダイソンのコードレス掃除機が今日のようなポジションを築けたブレークスルーは2つあって、1つは小型でパフォーマンスの高いモーター技術を開発できたと、もう1つは使い勝手のいい製品の重量バランスです。

 スティック型よりも先に「DC16」というハンディ型のコードレス掃除機を出したのですが、バランスのとれたバッテリーとモーターの位置を実現できたことで、これをどのように新しい形で家庭に取り入れられるか考え始めました。そこでこの重量バランスなら、軽量なスティックと組み合わせれば……と、エンジニアが自分の家庭に持ち帰って使い始めたのがきっかけです。DC16は他社製のモーターを使用していたのですが、DC35ではコードレス掃除機向けにモーターを自社開発することによって、ハイレベルのパフォーマンスを得ることができました。そしてこの重量バランスによって、床だけでなく高い場所の掃除も可能になるなど、掃除機に多様性を持たせることを可能にしたのです。

 そして、2013年に投入した「ダイソン デジタルモーター V6(DDM V6)」(搭載製品は「DC62」)ではそれまでのパーツをすべてアップグレードし、新しい世代の技術を投入することで、出力も200Wから350Wに向上しました。その結果、従来に比べ高い頻度で使用してもらえ、なおかつより確実にゴミを吸引できるようになりました。

――そして昨年、「V8シリーズ」でさらに大きな進化をとげましたよね。明らかにコードレス掃除機が次の世代に移行した印象です。

チャーチル氏:V8シリーズではモーターに加え、電池にも手を加えました。その結果、最大運転時間(通常モード/モーターヘッド使用せず)がV6の20分に対し、2倍の40分を実現しました。この40分というのは、ダイソンの調査によると掃除機ユーザーの99.5%が掃除をし終えることのできる時間です(ちなみにソフトローラークリーナーヘッドを使用した場合の運転時間は、V6約16分に対しV8は約30分)。なので、これも1つのブレークスルーと言えるでしょう。モーターのパワーと電池の持続時間の改良という柱に加え、ゴミと空気の分離システムも開発の大きな柱です。前の「V6シリーズ」でHEPAフィルターを搭載して排気をきれいにしたことによって、いっそう完璧な掃除機となりました。

ジョン・チャーチル(John Churchill)氏。ダイソンのフロアーケア部門のグローバルカテゴリーディレクター。英国とシンガポール・マレーシアの研究開発現場において、初期コンセプトから生産工程まで、フロアーケア製品全般(コード付き/コードレス掃除機およびロボット掃除機)の開発責任者を務める。テクノロジーの研究開発に加え、マーケティングや製造オペレーション、品質管理など、部門を横断的にフロアーケアカテゴリーのビジネス全般に携わる。2001年の入社以降、フロアーケア、空調家電、ハンドドライヤー、さらにロボット掃除機など50以上ものテクノロジーおよび製品開発に従事。2006年には、Dyson Airbladeハンドドライヤー(初期)のデザインマネージャーとして初期コンセプト開発から市場に製品を投入するまでの全工程に従事。その後、第2世代のハンディクリーナーを担当。2010年には英国におけるキャニスター掃除機の製品開発責任者に就任(写真:酒井 康治)
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