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最新論文で読み解く「医療とカラダ」の新事実医療

関節の炎症を引き起こす関節疾患は心臓病のリスクを高める

2017.07.06

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 関節の炎症を引き起こす病気としてよく知られている「関節リウマチ」患者は、心臓病や脳卒中などの心血管疾患にかかるリスクが一般の人よりも高いことが明らかになっている。

(写真:PIXTA)

 海外の新たな研究により、関節リウマチに加え、「乾癬性関節炎」や「体軸型脊椎関節炎」、あるいは「診断未確定関節炎」でも、心臓病リスクが高まることが明らかになった。診断未確定関節炎とは、関節の痛みを訴えて受診したのに、検査をしても診断がつかなかったケースを指す。その中で3割から半数は後になって関節リウマチと診断され、残りは自然に治ったり、診断がつかないままになる場合もある。

 研究の対象は、2000年から2014年までにフィンランドの慢性関節炎患者の医療保険データベースに登録された18歳以上の約5万人。関節炎の診断の10年前から2014年までに心筋梗塞などの冠状動脈疾患を発症するリスクを調べ、年齢、性別、居住地域が一致した健常者と比較した。

 その結果、調査終了時点では、男性ではリウマチ因子と呼ばれる自己抗体が陽性の関節リウマチ、乾癬性関節炎、体軸型脊椎関節炎、診断未確定関節炎で、心臓病を発症するリスクが健常者に比べて31%から46%高くなっていることが分かった。また女性では、リウマチ因子陰性の関節リウマチ、乾癬性関節炎、診断未確定関節炎で32%から67%リスクが高かった。

 その中で関節リウマチ患者では、関節炎を発症する以前から⼼臓病の発症リスクが⾼くなっていることが明らかになった。男性ではリウマチ因⼦陽性の場合、⼥性ではリウマチ因⼦陰性の場合、関節リウマチと診断される約10年前から、健常者に⽐べて⼼臓病になるリスクが上昇していた。これは、関節の炎症が起きて関節リウマチと診断される前に、⼼臓や⾎管に何らかの悪影響が生じていることを示唆する。今回、新たに診断未確定関節炎で⼼臓病リスクが⾼まることが示されたことも、関節疾患がごく初期から⼼臓病のリスク上昇と関連していることを⽰すものと⾔えそうだ。

 この研究は、フィンランド・テンペレ大学病院内科のパウラ・ムイル氏らの研究グループが、スペインで6月に開催された欧州リウマチ学会で報告した。関節リウマチ患者における心臓病リスクで男女差があることについてムイル氏は「ホルモンなどの影響が考えられるが現在のところ原因は分からない」と述べていた。

(文/中沢真也=日経BP社コンテンツ企画部シニアエディター)

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