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麓幸子の「ダイバーシティ&働き方改革最前線」ビジネス

日産自動車・志賀副会長が語る「グローバル競争を生き抜くためには多様性のある組織づくりが不可欠」(1/3ページ)

2016.10.26

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日産自動車は、ダイバーシティを重要な経営戦略のひとつと位置付け、長年にわたり、ダイバーシティ推進に取り組んできた。その先頭に立って変革を進めてきた志賀俊之副会長が、「ダイバーシティと企業革新」をテーマに、女性の活躍推進を通じ、日産にどんな変革が起きたのかを語った。(取材・文=西尾英子、撮影=竹井俊晴)

トップの強力なコミットで「粘土層」が変わり始める

 ダイバーシティが進むと、企業はどう変革できるのか。長年、日産のダイバーシティ推進を率いてきた志賀氏は、この点について3つの変化を挙げた。

 ひとつ目は、社内の抵抗勢力である「粘土層」が変わり始め、企業変革が進みやすくなること。二つ目は、女性が活躍することで、より顧客視点の変革が進む。3つ目の変化は、女性が活躍する職場作りを通じて、長時間労働の是正と働き方が変わることだ。

 女性の活躍を推進する理由はいくつもある。まずは、日本にとって喫緊の課題である少子化と人口減少の問題だ。昨年の日本の出生率は1.46と2年ぶりに上昇した。しかし、年間出生数約100万に対し、死亡者数は約130万人と、人口は減り続けている。実は、出生率と女性の就業率は比例する傾向があり、女性の就業率が高いほど、出生率も高いという。

 さらに、女性が活躍することで大きな経済効果が見込める。日本の女性の就業率が男性並みの80%に上昇すれば、820万人の労働人口が増えて、GDPを最大15%押し上げる などのデータもあり、女性の参画は成長率に寄与する。世界的に見ても、役員の女性比率が高いほどROE(株主資本利益率)が高い傾向があるという。

日産自動車取締役副会長 産業革新機構代表取締役会長CEO
1976年大阪府立大学経済学部卒業。同年日産自動車入社。90年アジア大洋州事業本部アジア大洋州営業部主任。91年同部ジャカルタ事務所長。99年企画室長 アライアンス推進室長。2000年常務執行役員。05年最高執行責任者。同年代表取締役、最高執行責任者。13年代表取締役副会長。渉外、知的資産管理、コーポレートガバナンス担当。15年取締役副会長。産業革新機構代表取締役会長(CEO)。主な公職:14年経済同友会副代表幹事。15年男女共同参画社会づくり功労者表彰内閣総理大臣表彰。

 こうした状況にも関わらず、なぜ女性活躍は進まないのか。志賀氏は、成長を目指す女性には「3つの壁」があると指摘する。第一の壁は、男性社会のなかで、「無意識の偏見=アンコンシャスバイアス」との闘い。第二の壁は、結婚や出産・育児といったライフイベント。さらに、そこを乗り越えて仕事にまい進し、管理職になると、今度は周囲の期待や嫉妬との闘いという第三の壁が待っている。ここが男性との大きな違いであり、こうした壁を乗り越えていかないと女性が活躍できる社会にならないという現状がある。

 なかでも、「無意識の偏見」は、手ごわい壁だ。会社のなかには変革することを拒む“粘土層”がいる。彼らの本音として“ものづくりの会社は男の世界”“女性はある程度は使えても最後は任せられない”など、無意識のうちに刷り込まれた偏見があるという。

「こうした粘土層を変えていかないと、ダイバーシティ推進は難しい」と志賀氏は強調する。

 無意識で変化を拒む粘土層を変えるには、どうすればいいか。志賀氏は、「トップが強力なリーダーシップでダイバーシティを進めていくことが重要」と話す。日産がそうであったように、様々な属性を持った人たちがどんどん増えることで、それが当たり前の状態になり、無意識のバイアスも薄れていくという。

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