「ダイバーシティをキーとした経営革新」をテーマに、学識者やダイバーシティマネジメントの成功企業の経営層が登壇した「ダイバーシティと経営革新~女性活躍・働き方改革を企業の持続的成長にどう結び付けるか」が、9月16日に東京・神保町で開催された。
 基調講演には、中央大学大学院戦略経営研究科(ビジネススクール)教授の佐藤博樹氏が登壇。「なぜダイバーシティ経営なのか」をテーマに講演を行った。(取材・文=西尾英子、撮影=竹井俊晴)

ダイバーシティ経営に関する誤解や勘違いとは?

 冒頭で佐藤教授は、「ダイバーシティ経営という言葉は、かなり浸透してきたものの、まだまだ誤解されている部分も多い」と指摘した。

「“多様な人材がいる”というだけではダメ。彼らが持っている能力を発揮し、経営に貢献できるようなマネジメントや仕組みを実現しなければダイバーシティ経営とはいえません」

 また、ありがちな“勘違い”として、こんなケースを挙げた。

 “自社の商品ユーザーは8割が女性だから、女性の感性を生かした商品開発チームを作ろう”と女性オンリーのチームを結成し、成功した。その場合、「女性だから成功した」と評価するのは間違いであり、ダイバーシティ経営を正しくとらえていない。

「大切なのは、チームのリーダーがどういうマネジメントを行ったか、その要因をしっかり見極めることです。そうでないと横の展開ができず、成功するために女性の開発チームを作るという発想になってしまう」

 ひとりひとりが持つ能力や適性を見て、活用するのがダイバーシティ経営だ。“女性だから”“外国人だから”と十把ひとからげに捉えるのは正しくない。同様に、「女性役員が多い企業は利益率が高い」「パフォーマンスがいい」という分析を受け、「それならウチも女性管理職を増やそう」と安易に飛びつくのもよくない。

「多様な人材が活躍できる仕組みを用意しないと機会損失が大きいことは確かですが、女性管理職を増やすことがその企業にとってプラスに働くかどうかは経営トップのマネジメント次第です」

基調講演に登壇した佐藤博樹教授
一橋大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。83年法政大学大原社会問題研究所助教授、87年法政大学経営学部助教授、91年同大学経営学部教授、96年東京大学社会科学研究所教授。2014年より現職。著書に『人材活用進化論 』(日本経済新聞出版社)、『職場のワーク・ライフ・バランス』(共著、日経文庫)、『ワーク・ライフ・バランス支援の課題:人材多様化時代における企業の対応』(共編著、東京大学出版会)、『介護離職から社員を守る』(共著、労働調査会)など。内閣府・男女共同参画会議議員、内閣府・ワーク・ライフ・バランス推進官民トップ会議委員、厚生労働省・イクメン・プロジェクト顧問、経済産業省・新ダイバーシティ経営企業100選運営委員長などを兼任