マイノリティの問題として終わらせない
そして最後に取り上げるのは、女性の活躍を妨げる大きな要因。それは、セクハラだけでなく、パワハラやマタハラといったさまざまハラスメントの存在です。私が働きかけたことがきっかけとなり、最近ようやく都庁にも職員の相談窓口ができましたが、都民のみなさんにも相談できる場所はたくさんあります。
たとえば、「東京ウィメンズプラザ」では性犯罪については24時間相談できるようにもなっています。女性活躍に関してやDVの対策などについての講座や研修も東京都ではいろいろと開催しており、必要な方はぜひ問い合わせてください。
セクハラという言葉ができて20年ですが、それまでは「セクハラはダメだよね」という飲み屋の話のレベルで認識が甘かった。しかし、私が経験したセクハラやじ以降は、「セクハラは社会的責任を問われるハラスメントである」という認識に変わり、議会のなかだけでなく、日本中がセクハラに対してかなり高い意識を持つようになったとは感じています。「セクハラはダメだ」とか「女性をバカにしてはいけない」とか「ハラスメントはセクハラだけじゃない」という認識が共有され、日本のハラスメント対策は進んだと信じています。
そして、パワハラに関しては、先日起きた電通の女性社員の過労自殺問題がまさにその典型。これは、彼女がかわいそうで終わらせてはいけないことであり、どこに原因があったのか、そして責任を取らなければいけない問題です。部下を指導する場合、部下に改善点があれば正しく指導をすることは大事です。しかし、指導や叱るということと、ハラスメントの差がわからなくなっている人がいるのも事実。叱らない人とやり過ぎてハラスメントになる人と極端になってきているのです。愛を持って指導をすることと、追い詰めるというのは違うことなのです。
こうした女性が抱えがちな問題について、今後も変わらず発信を続けていきます。
セクハラにしても、非正規雇用にしても、私が経験をしてきた問題は決して特殊なことではありません。今、非正規雇用はおよそ4割ですから、マイノリティではなくなりはじめ、多数派になろうとしています。私は特別なマイノリティではなく、現代のわかりやすいロスジェネの代表的な存在として、これからも当事者だからこそ言えることをどんどん発信していくのです。
(インタビュー・構成=志村昌美)