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【最終回】人と社会は既にAIで変わり始めている(4/6ページ)

中島秀之(東京大学 特任教授)×川上量生(ドワンゴ会長) Part.4

2016.12.26

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共進化する「人間とAI」

川上:テレビ局では、今、ハーディングチェックというのがあるんです。

ハーディングチェック
光の明滅や揺らぎなどにより身体に異常反応が起こる病気「光過敏性発作(Photosensitive Epilepsy)」の権威であるグラハム・ハーディング(Graham Harding)教授によってつくられた基準を満たしているかどうか、映像に対して前もって行われるチェック。

――テレビの画面が過度に激しくチカチカ、ピカピカしていないか、あらかじめ行うチェックですね。

川上:ポケモンショック以来、導入された「点滅などして子どもの気分を悪くしないか」というチェックです。今、ハーディングマシンっていうやつがいて、それがオッケーを出さないと、放送してはいけないという規制ができたんです。その結果、ポケモン以前に放送されていたアニメのなかで、ハーディングチェックに引っかかるアニメが続出しました。再放送するたび、修正して、放送しているんですよ。以前は、べつに問題なかったのに(笑)。もはや、人間ではなく、ハーディングマシンに合わせるようになっているんです。

――中島先生は、研究者として、そういう感じの社会をどう思われますか。

中島:いや、そういう感じって……人工知能でなくても、要するにITで世の中が変わっていくっていうのは、だいたい、そんなことだろうと思うんですけどね。

――ある程度、人間が人工知能に合わせるようになるのは仕方ないということでしょうか。

中島:最近、おもしろいと思ったのは、東京大学で複雑系の研究をしている金子邦彦教授の話です。専門分野は複雑系なんだけど、金子さんは小説も書くんです。プログラムに小説を書かせる話で、プログラムが書いたものをツイートさせて、参照の多かったものを評価する……強化学習というか、進化計算をやって、プログラムがどんどん進化するんですけど、そのうち、すごくへんな小説がはびこる。そうすると、ユーザーの嗜好がそっちに引っ張られていって、どんどん同調するわけです。

川上:共進化を起こしちゃうわけですね。それ、おもしろいな。

中島:それで、すごく変な小説がはやるようになって、元のプログラムを書いた人たちは「おかしいだろ?」っていうんだけど、結局、世の中で、プログラムの作者たちだけが取り残されるっていう(笑)。

川上:人工知能って、絶対、そういう現象が起こります。人間と人工知能の織りなす世界で、共進化を起こすから。

中島:いろんなところでね。でも、今でもテクノロジーと人間の共進化はいっぱい起こっている。若い人の生活態度が、SNSで変わっちゃったじゃないですか。

――そうですね。

中島:ただ、我々の年齢になると、AIとチャットしようとは思わないですけど……っていうか、僕自身、SNSをやっていても、一般の人とチャットする気すら全然なくて、知り合いとの通信手段に限られているんですけどね。

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