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【最終回】人と社会は既にAIで変わり始めている(3/6ページ)

中島秀之(東京大学 特任教授)×川上量生(ドワンゴ会長) Part.4

2016.12.26

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「AIの気持ちがわかるAI」の価値が上がる

――先ほどの「ニコニコ動画の抽象誹謗コメントの削除」のお話で、90%までは自動化されたということですが、近い将来、100%までいくのでしょうか。

川上:近い将来は、いかないですね。

――それは、ディープラーニングの能力の限界ということですか。

川上:100%までいかない理由は、削除すべきかどうか、社会的な知識を利用して判断しているからです。一般常識的なものって、人間は人間の社会の中に暮らしているから抽出できるんだけど、そもそも身体のない人工知能は、単純なテキストだけで判断することしかできないので、社会に住まないとわからない言葉については、やっぱり、取れないですね。

――そこも身体性に関係すると?

川上:そうです。逆に言うと、人間と同じレベルの身体性か、もしくは、ある程度、実用に耐え得る身体性を持った人工知能ができた瞬間に、ほぼ、できないことはなくなると思います。今は、そうじゃないので。

――中島先生は、以前の対談で、5歳くらいの人工知能が搭載されたロボットをつくって、社会に出して育てることができれば、人間の知能に近い人工知能がつくれるかもしれないというお話をされていましたね。

中島:「育てることができれば」という点は相当難しいですが、まあ、そういうことですよね。

川上:僕は、そういうふうに人間の側からいくんじゃなくて、機械の側から進化するインターフェースというのがあるんじゃないかと思っています。

――機械の側から進化する?

川上:今、SEOってあるじゃないですか。

SEO(Search Engine Optimization)
ある特定の検索エンジンに対して、検索結果で自己のWebサイトがより上位に現れたり、より多く露出されるようにウェブページを書き換えて最適化すること。また、その技術。

――はい。

川上:SEOは、グーグルのボットに見つけてもらいやすいように、ホームページの内容を変えていくことです。何かWebサイトをつくるとき、人間がどう思うかではなく、グーグルのボットの気持ちに合わせてつくっているわけです。

――ええ、そうですね。

川上:今後、AIはどんどん社会に増えてきます。人間にはその気持ちがわからないAIが、社会にどんどん、どんどん、増えていきます。そうすると、AIの気持ちがわかる人工知能の価値が、どんどん、どんどん、上がっていくわけですよ(笑)。

中島:なるほど。

川上:今は、人間同士のコミュニケーションが社会のかなりの部分を占めているんだけど、現時点でも、そういう現象って起こっていて、機械に人間が合わせている部分っていうのが、少しずつ増えている。今後は、どんどん増えていく。そうすると、必ずしも人間をシミュレーションしなくても、大事なことはほぼ全部、機械でやっているっていうような(笑)。人間の気持ちを考える必要すらない。

――なんだか、ちょっと気味の悪い話ですね。

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