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AIは企業を経営できるか(1/7ページ)

中島秀之(東京大学 特任教授)×川上量生(ドワンゴ会長) Part.3

2016.12.19

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 前回の「“宮崎駿”もAI化できる!? ディープラーニングで『人間の知能』に迫る」で、ディープラーニングは創造性を発揮できるのか、暗黙知は使えるのではないか、といったディープラーニング、ひいてはAIの新たな可能性について語り合った中島氏と川上氏は、今回の対談で、現実的なビジネスの観点から、これからの時代のAIと経営者の関係や、AIを使った経営の可能性について語り合います。

(左:ドワンゴ会長の川上量生氏、右:東京大学特任教授の中島秀之氏)

(文・構成/佐保 圭、写真/涌井タダシ、協力/高柳 浩=公立はこだて未来大学 客員教授)

AIとビッグデータで「ヒットの法則」が見える

――他の7社と「先端人工知能学教育寄付講座」を設立し、ドワンゴ人工知能研究所も創設された川上さんは、人工知能の今後に関して、どのような絵を描いているのですか?

川上量生氏(以下、川上):ディープラーニングが人間の脳をどれくらい模倣しているかは別にして、電子化された人間の脳だからできることってあるんですよ。その中でも一番大きいのは、「ビッグデータとの結合」です。

――人工知能をビッグデータと結合させる?

川上:データのバンドワイズを、人間の脳よりも圧倒的に広くできる。人間にできないことを人工知能でやろうとすると、1つは、ビッグデータと結合することだろう、と。

――もし、それができたら、どういうことが起こるんですか。

川上:今は、みんな、「どういうものが当たるだろうか?」というのをすごくナロウなバンドワイズのデータから、想像しながら、勘でやっています。人工知能とビッグデータを結合して何ができるかというと、1つは、バンドワイズの広いデータの中から、相当精度良く、ユーザーの反応から“当たるもの”を抽出できることだと思うんです。

――人工知能とビッグデータの結合で、ヒットの法則が見えてくるのですね。

川上:特に、僕はユーザーサービスもやっているので、ある程度のユーザーのデータを持っているわけだから、まずは、それがターゲットです。

中島秀之氏(以下、中島):もう1つは?

川上:もう1つは、「SNSの人工知能化」がすごく大きなテーマになるだろうと思っています。やっぱり、“人間疲れ”って、起こすものですから(笑)。僕はゲーマーなので、ゲーマーがたどる歴史は、ほぼたどってきました。最初は「人間と対戦したい」と。とにかく人間と対戦しないとおもしろくない、と。だから、ボードゲームなんだと。でも、どうやらオンラインで対戦できるらしいぞっていうので、そっちの方がもっとおもしろいじゃないかと思った結果、人間と付き合うのが面倒臭いというので、戻ったんですよ(笑)。

――川上さんも、人間疲れを起こしたわけですね。

川上:それで、AIと対戦していると、AIの方が……特に若い子たちは真剣にやっているので、ガチでやってくる子たちには勝てない。そうすると、人工知能とやる方がよっぽど気楽でいい、と落ち着いたんですけど……たぶん、これって、人間のたどる歴史の1つのパターンなんですよ(笑)。

中島:なるほど。

川上:人は、SNSやネットでのコミュニケーションで、必ず“人間疲れ”を起こします。そのとき、SNSでつながる先として人工知能を選ぶ時代が必ず来るので、そういうAIをいちはやく作るのが大事だと思っているんです。僕の立場から、AIをビジネスで活用するとしたら、この2つかな。

――たとえば、マイクロソフトの「りんな」とか?

りんな
日本マイクロソフトが開発したAI。平成生まれの女子高生として、雑談や恋愛相談などの会話ができる。2015年夏、LINE向けサービスとして登場し、同年12月、Twitterでのサービスも開始。同社が中国で開発したAI「XiaoIce(シャオアイス)小冰」をベースに、同社検索サービス「Bing」のビッグデータをもとに会話する。

川上:ああいうやつですよね。

――でも、あまり望み通りには答えてくれないですけど(笑)。

川上:人間も、あんなもんじゃないですか(笑)。特にうちのエンジニアとか、話し下手の人が多いですけど、そうすると、コミュニケーション能力が下手な人よりも、よっぽど「りんな」の方が対応できますから(笑)。

中島秀之(なかしま・ひでゆき):東京大学大学院情報理工学系研究科 先端人工知能学教育寄付講座特任教授、公立はこだて未来大学名誉学長。1952年、兵庫県生まれ。
1983年、東京大学大学院情報工学専門博士課程を修了後、同年、当時の人工知能研究で日本の最高峰だった電総研(通商産業省工業技術院電子技術総合研究所)に入所。協調アーキテクチャー計画室長、通信知能研究室長、情報科学部長、企画室長などを歴任。
2001年、産総研サイバーアシスト研究センター長。2004年、公立はこだて未来大学の学長となり、教育と後輩の育成、情報処理研究の方法論確立と社会応用に力を注ぐ。2016年3月、公立はこだて未来大学学長を退任後、同年6月、同大学の名誉学長に。

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