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AIは企業を経営できるか(2/7ページ)

中島秀之(東京大学 特任教授)×川上量生(ドワンゴ会長) Part.3

2016.12.19

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「創造性だけ」なら早く死に絶える

――中島先生は「人間の知能を知りたいから、人工知能を研究する」というお話でした。でも、「人間と話していると疲れるから、人工知能の方がいいや」という川上さんのお話は、中島先生の考え方からすると、なんだか真逆にも思えるのですが。

中島:基礎研究をやっている人と、応用研究をやっている人のちがいじゃないですか。

――え?

中島:そんなに不思議な話ではないと思うんです。だって、川上さんのお話は、どう使うかっていう話ですよね。

川上:そうですね。ビジネスとしてどう使うかっていう話です。

――では、川上さんは「知能」とは何だとお考えですか。

川上:この100年くらい、コンピュータで人間の脳をモデルに創造する研究がずっとなされてきたわけですが、そのなかで「コンピュータにはできないよね」と言われてきたのは、「勘」とか、「センス」とか、「ひらめき」です。でも、ディープラーニングは、この3つとも説明するので、まだ若干のピースは残っていますが、原理としての人間の知能は、ほぼ理解の範囲内に入ってしまったと思っています。

――この川上さんのご発言について、中島先生は、どうですか。

中島:昔から「創造性」というものは、簡単だと思っていました。乱数を使えばいいじゃないかって。

川上:はい。

中島:難しいのは、その評価の方だと思うんです。人間は完全な乱数をつくるのが不得意です。コンピュータ相手にジャンケンをやるときに、コンピュータは統計をとって、人間の癖を読めるので、長くやると結局コンピュータが勝つという話は、よく言われています。完全にランダムに出すのが一番いい戦略なんだけど、人間にはそれができない。

――どういうふうに、難しいんですか。

中島:たとえば、グーばかり出していると、なんか変だから、次はパーを出そうかと思ってしまう。ところが、確率的にはグーがいくつ続いても、またグーでもいいわけです。人間は能力として、今ある環境にフィットするのがすごくうまいから、そこから離れづらいんです。創造性とは、そこから離れることを意味するので、不得意になる。

――では、人間の知能は、創造性において、人工知能よりも劣っているということでしょうか。

中島:ただ、ほとんどの知能は、今の環境にフィットすることがいいわけで、創造性ばかり発揮している人は、たぶん、早く死に絶えるんです(笑)。

川上:クリエーターの人と話していると、創造性には2つあるようですね。1つは、パターンのパッチワークです。過去の記憶のパッチワーク。これは早い。ただ、もう1つの、本当に新しいものをつくろうとしているときの作戦って、ほぼランダムなんです。総当たりでやっているんですよ(笑)。だから、すごい時間がかかって、苦しい。

中島:新しい組み合わせって、そういうことですよね。

川上:そうなんです。そこはランダムですね。もちろん、方向を決めるときとかは、多少、論理の助けを借りますけど、でも、基本的にはランダムなんですよ。

川上量生(かわかみ・のぶお):カドカワ社長、ドワンゴ会長、KADOKAWA取締役。1968年、愛知県生まれ。
京都大学工学部を卒業後、ソフトウェア企業での7年間のサラリーマン生活ののち、IT関連企業のドワンゴを創業。社長や会長を歴任し、2004年、同社を東京証券取引所第一部に上場させた。2011年、スタジオジブリ入社し、鈴木敏夫の見習いとなる。2013年、庵野秀明が代表取締役を務めるカラーの取締役に就任し、2014年にKADOKAWA・DWANGOの会長、2015年には同社の社長に就任するなど、八面六臂の活躍を見せる。2016年、ドワンゴの会長として、他7社とともに東京大学に人工知能に関する寄付講座を設立した。

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