トップ > 終わることのない人工知能の話 > “宮崎駿”もAI化できる!? ディープラーニングで「人間の知能」に迫る

終わることのない人工知能の話IT

“宮崎駿”もAI化できる!? ディープラーニングで「人間の知能」に迫る(3/8ページ)

中島秀之(東京大学 特任教授)×川上量生(ドワンゴ会長) Part.2

2016.12.12

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

“弱いAI”でいいじゃないか!

川上:たとえば、コンテンツの世界でヒットをつくり出す人のなかには、同時代の感覚を持って、ヒットをつくる人がいます。これはもう感覚なので、時代に対して自分が古くなってくると、ヒットは出せなくなります。一方で、継続してヒットを出す人もいます。そういう人は、周りを観察して「こういうのがウケているな」と意識して、本当には理解しないんだけど、ヒット作品をつくるんです。

中島:ほぉ。

川上:人間でもそういうことができるんだから、本当に理解してやっているのかどうか、ちょっと怪しいところがあるけれど、同じようなかたちで、身体性も、完全に人間を再現しない身体性において、だいたい合うような人工知能はつくれると思います。感性は追いついていないのに、一応、ヒット作はつくれるっていうクリエーターが存在するのと同じで(笑)。

中島:おもしろいですね。昔、ジョン・サールが人工知能を批判するとき、逆のことを言っていた。表面的行動だけ合わせる、いわゆる「弱いAI」はできるけど、本当に中身の理解まで合っている「強いAI」はできないって。

John Rogers Searle(1932年7月31日 - )
米国の哲学者。言語哲学および心の哲学を専門とし、人工知能批判で知られる。「AIが真の推論と問題解決能力を身につけられるかどうか」の論争で用いられる「強いAI(真に知能のある機械)」と「弱いAI(人の知的活動の一部に近いことをして、知能があるように見える機械)」という用語をつくった。

川上:まあ、同じというか、「弱くていいじゃん!」って(笑)。

中島:川上さんがおっしゃっているのは「弱いAIの方が使い道がある」ということですね。

川上:僕はビジネスサイドの人間なので、ヒット作がつくれるか、美味しいものが作れるか、と考えた場合、「弱いAIでいいじゃん!」って(笑)。

中島:なるほど。

川上:強いAIっていうのは、その文脈だと「ハードごと完全にエミュレーションしないと、本当に同じにはならない」という立場ですよね。

中島:そうですね。

川上:それはそれで、そうだと思うんですが、別に、そんなのいらないじゃんっていう(笑)。

中島:なるほど。ちなみに、周りを見て、ヒット作を生み続けるタイプのクリエーターの割合って、どれくらいなんですか?

川上:うまくできる人の割合は、少ないと思いますよ。うまくできないんだけど、そういうスタンスをとる人は多いです。なぜかというと、今、ものをつくろうとすると、一人ではできなことが多い……権力が要るんですよ。権力を持っている側が、強いんですよね。

中島:ほぉ。

川上:権力を持っている側は、あまり才能がなくてもよくて……だから、実際は、そういう人が多い(笑)。

中島:なるほど(笑)。

川上:要するに、うまくいっていないんだけど、そういうことをやっている人が多いっていうのが、実態だと思うんですね。それをうまくできる人は少ないと思っていて、そうすると、クリエイティブの世界、特にヒット作をつくるという文脈において、人間は人工知能にはかなわないだろうと思っているんです。

中島:なるほどね。説得されちゃった(笑)

川上:あははは(笑)。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • ログイン
  • マイフォローとは?
nikkei BPnet 会員サービス
トピックを選ぶ!フォローする 自分のメディアを組み立てる! マイフォロー

ランキング一覧を見る

おすすめ情報【PR】

締切間近のセミナー