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AIの進歩が社会に求める変革とは(9/9ページ)

中島秀之(東京大学 特任教授)×川上量生(ドワンゴ会長) Part.1

2016.12.07

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理想的な選挙のやり方とは何か

中島:川上さんは『デモクラティア』という漫画をご存知ですか。

デモクラティア
2013年から2015年まで、間瀬元朗が小学館『ビッグコミックスピリッツ』に連載したSF漫画。インターネットで無作為に選ばれた人間の多数決で、人間そっくりのヒューマノイド“ヒトガタ”の意思行動が決定される。“集合知”で適切な判断を下し続ける“ヒトガタ”は、思いもよらない方向へ暴走していく。

川上:いや、知らないです。

中島:人型のロボットをつくって、それの操作をネット上の多数決でやる。3000人にソフトをばらまいて、その人たちが、チャットしながら、次、何をするのかを決めるんです。最初のうちは、わりとうまくいっているんです。でも、あることから、ロボットが、半分事故なんですけど、人を殺しちゃうんです。みんなで「殴れ!」とか言って。

川上:ええ。

中島:そこから警察が出てきて、最終的にはいろんなことが起こるんですけど、この漫画では「ネットワークの多数決っていうのは、本当に機能するのか」というのがメインテーマになっていて、結構、おもしろいんですよ。多数決のアイデアが。

川上:どう面白いんですか?

中島:単なる多数決じゃなくて、みんながいろいろ意見を出すと、上位5つを選んで再投票するんだけど、実は、上から順番に5つじゃなくて、上から順番に3つと、下から2つを選ぶんです。その5つでもって投票すると、結構、1人しか言わなかった意見が、みんながみると「いいんじゃないの」って、その意見が通ったり……そういう仕組みもあるのかなと思うんです。

川上:なるほど。

中島:自民党と、民進党と、選挙でどっちに投票するかっていうときに、それぞれの政党は、政策をいっぱい書くじゃないですか。たとえば、10項目対10項目のどっちがいいですかって。

川上:ええ。

中島:それって、「抱き合わせ商法」ですよね。抱き合せ商法って、商法で禁止されているのに、選挙ではそれをやってるじゃないかって。個々に選ぶのと、抱き合せで投票するのとでは、結果が変わる。だから、1票しか投票できないっていうんじゃなくて、1位、2位、3位って書かせるとか、そういうことが経済学的にはあって、しかも、今のテクノロジーではできるのにもかかわらず、昔のまま、紙に1人だけ名前を書きなさいってやっているのが、たぶん、いけないんだと思うんです。

【次回予告】
 人工知能の進歩を社会に活用するために、どのような社会制度の改革が必要かについて議論した中島氏と川上氏は、次回、「ディープラーニング」の実力や実用化の可能性について、異なる立場や考え方から、それぞれの主張を戦わせます。

中島 秀之(なかしま・ひでゆき)
中島 秀之(なかしま・ひでゆき)

東京大学大学院情報理工学系研究科 先端人工知能学教育寄付講座特任教授、公立はこだて未来大学名誉学長。1952年、兵庫県生まれ。1983年、東京大学大学院情報工学専門博士課程を修了後、同年、当時の人工知能研究で日本の最高峰だった電総研(通商産業省工業技術院電子技術総合研究所)に入所。協調アーキテクチャ計画室長、通信知能研究室長、情報科学部長、企画室長などを歴任。2001年、産総研サイバーアシスト研究センター長。2004年、公立はこだて未来大学の学長となり、教育と後輩の育成、情報処理研究の方法論確立と社会応用に力を注ぐ。2016年3月、公立はこだて未来大学学長を退任後、同年6月、同大学の名誉学長に。

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