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AIの進歩が社会に求める変革とは(4/9ページ)

中島秀之(東京大学 特任教授)×川上量生(ドワンゴ会長) Part.1

2016.12.07

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奪い合われる人工知能研究の人材

――川上さんが、この「先端人工知能学教育寄付講座」に期待することは、何でしょうか。

川上:人材の輩出ですね。ディープラーニングのスキルを持った人が多数輩出されるような日本になってほしい、というのが一番の動機です。

――中島先生はどうですか。

中島:私は、ディープラーニングだけとは思っていないんですけど、確かに人工知能の研究分野の人材が足りないのは明らかです。実は、第5世代の頃って、日本にも結構、人工知能の研究者は多かった。企業でもAIをやっている人がいたんだけれど、そのあと、企業が研究所をずいぶん縮小したので、たとえば、寄付講座に人を採用しようと思っても、人材がいない。特に今は、2015年5月、産総研に「人工知能研究センター」が設立されて、2016年9月には理化学研究所で「革新知能統合研究センター」の研究体制が決められて、なんだか、「少ない人材をみんなで取り合いしている」みたいな感じになっています。

――確かに、そうですね。

中島:今、さまざまな分野で人工知能に興味が持たれていて、私も、いろんなところに呼ばれます。先日は、東京芸大からも「人工知能と芸術について話してくれ」と言われました。ただ、見ていると、やっぱり、普通の方はAIに関する理解が割と狭いような気がします。「人工知能とはディープラーニングのことである」と言い切る人もいるし、あるいは、そこまでもわかっていなくて「うちの会社でAIを使いたいんですが、何をすればいいんですかね」って。

――世間の人工知能に対する理解は、まだまだということですね。

中島:「AIを使いたいけど、どうすればいいか」というのは、順序が逆です。「こういうことをしたいんだけど、AIが使えないか」という方が正しい。もっと言うと「今の業務を変えたいけど、既存のテクノロジーではできないから、AIならできるか?」という話が本当はあってしかるべきなんです。テクノロジーが進歩しているのに同じことをやっているのは、すごく馬鹿げた話だと思うので、ディープラーニングでもいいし、AIでもいいけど、本当は「何ができるんだ?」という考え方を育てていかなきゃいけない。

川上:はい。

中島:寄付講座で駒場の1年生を対象に「ビッグデータ時代の人工知能」について、2回、講義してきたんですけど、レポートをみると「『AI』という言葉だけ知っていたけれど、なんだかよくわかんなかったのが、よくわかりました」みたいなことを書いてきた。人工知能には何ができて何が不得意かをみんなが知ることと、ディープラーニングなど人工知能の技術を使いこなせる人材が育つこと、その両輪がそろわないと、日本は変わっていかない気がします。

川上:そうですよね。

中島:「今ある業務をAIでやるのはなくて、AIでしかできないことを始めましょう」みたいな感じになっていかなきゃいけない。寄付講座では、そういう人材を育てたいと思っています。

――なるほど。

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