トップ > 終わることのない人工知能の話 > 「知能」とは何か、AIはどこまで近づけるのか

終わることのない人工知能の話IT

「知能」とは何か、AIはどこまで近づけるのか(3/5ページ)

中島秀之(東京大学 特任教授)×羽生善治(将棋棋士) Part.5

2016.11.21

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

AIによる遠隔医療の新たな可能性

中島:医療に関しては、この前、警察の人と話していたら、AIのおもしろい応用例がありました。

羽生:どのような話ですか。

中島:今、AIとバーチャルリアリティ(VR)を利用した遠隔医療技術の開発が進んでいるんですが、残念ながら、まだ完成していません。怖いんですよね。誤って、切ってはいけないところを切ってしまったりすることが。

羽生:ええ。

中島:そこで、警察の人から「AIの導入された遠隔医療の技術を司法解剖に使えないか」という話が出てきたんです。万一、不慮の事故が起こってしまったときにも、亡くなった方に対する司法解剖なら、生きている患者さんと比べれば、大事には至らないから、と。

羽生:なるほど。

中島:司法解剖の要請って、すごく多いそうなんです。けれど、司法解剖ができる人は、その要請に十分対応できるほど多くはいないといいます。

羽生:現実的な人手が足りていないのですね。

中島:たとえば北海道でいうと、司法解剖ができる場所は、札幌と旭川にしかないらしいんです。そこで、北海道で亡くなられた方で、司法解剖が必要な場合は、ご遺体を丁重に札幌か旭川まで至急送って、検死して、また、ご遺族のところまで送り届けなければならないので、大きなコストがかかってしまうんです。もし、司法解剖できるお医者さんが、札幌や旭川にいたまま遠隔医療の技術で司法解剖できれば、ご遺体をわざわざ遠くに移動する必要もなくなり、ご遺族の心的負担も軽減されますし、コストダウンにもつながるので、できませんかって。

羽生:どう答えられたのですか?

中島:私が今年3月まで学長を務めていた「はこだて未来大学」にも、遠隔手術を研究している人間がいますから、もしかしたら、実現性はあるんじゃないかと。

羽生:そういう話も、具体的に進み始めているのですね。

中島:業界が違うと、ニーズはわからないものなんですね。技術があっても、使い道はわからない。このケースは、結構、“目からウロコ”の話でした。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • ログイン
  • マイフォローとは?
nikkei BPnet 会員サービス
トピックを選ぶ!フォローする 自分のメディアを組み立てる! マイフォロー

ランキング一覧を見る

おすすめ情報【PR】

締切間近のセミナー