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羽生善治三冠、生存本能に縛られないAIは「創造的」たりうるか(4/6ページ)

中島秀之(東京大学 特任教授)×羽生善治(将棋棋士) Part.3

2016.11.07

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大事なのは「2番目に踊り出した人」

中島:我々の研究分野で見ても、最初に全く新しい研究や発見をする人が、ときどきいるわけです。たとえば、「人工生命」の研究を始めた人たちがそうです。

羽生:はい。

中島:それまで誰もやっていなかった研究を始めて、完成度からいうと9割くらいのところまでいったんです。それってすごいなって思ったんですが、そこまでくると、追随して「残りの1割」の部分を完成させようとする人たちが、わーっと出てくるんです。僕は、研究者として、その人たちはダメだと思っているんです。

羽生:個人的には便乗したい人の気持ちはよくわかります(笑)。

中島:やっぱり、研究では「9割まででもいいから、何か新しいことをやろうよ」という感じが、常にあるんです。

羽生:2年くらい前、とあるTEDの講演のなかで、面白いプロモーション映像がありました。1人の人間が突然、草むらで踊り出すんです。すると、「なんか、変な人が踊っているなぁ」みたいな感じになるんですが、そのうち、また1人、その人の隣で踊り出すんです。そうすると、その周りの人たちも、1人、また1人と、一緒に踊り出して、最終的には草むらにいる人たちがみんな踊っている……という内容だったんです。

中島:はい。

羽生:その話で、プレゼンターは何が言いたかったのかというと「大事なのは2番目に踊り出した人だ」ということでした。

中島:おぉ、なるほど。

羽生:最初の「訳もわからなく踊り出した人間」は、いつも、どこかにいると(笑)。変なことをする人は常にいるけれども、それを「いいね」とか「面白いね」とか「個性があるね」というふうに評価してくれる人間がいないと、周りも踊り出してくれない。

 みんな、なんとなく最初に踊り出す人に注目するんですが、大事なのは最初の人じゃなくて、それをサポートするなり、一緒になって踊り出してくれる「2番目の人」だっていう主張でした。それって、きっと、イノベーションとか、発明とかということとも、密接に関係しているんじゃないかな、と。

中島:私は、さっき「最初に始めた人が偉い」と言いましたけど、たしかに誰も認めてくれなければ、知られず終わってしまうんですよね。

羽生:そうなんです。将棋の「新手」も同じで、評価がわかりやすくて、まねしてくれる人が出れば「いい手」になります。著作権とか、権利関係がなく、指すかどうかは自由なので、“市場原理”しか働かない。よければまねされるし、ダメならまねされないし、わかりやすいですね。

中島:なるほど、そうなんですね。

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