トップ > 終わることのない人工知能の話 > 羽生善治三冠、生存本能に縛られないAIは「創造的」たりうるか

終わることのない人工知能の話IT

羽生善治三冠、生存本能に縛られないAIは「創造的」たりうるか(3/6ページ)

中島秀之(東京大学 特任教授)×羽生善治(将棋棋士) Part.3

2016.11.07

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

創造性は規則に従わない

羽生:AIによって手に入る知識が増えたことで、「選択」にも、ものすごく影響を与えているはずですね。

中島:というと?

羽生:わかりやすい例だと、仕事を選ぶとき。以前なら「よくわからないけど、やってみるか」ということもあったと思うんです。けれど、最近は「どれくらい修行しなければいけないか」とか「こういう待遇だ」とか「こういう上司がいるらしい」など、とりあえずネットで逐一調べて、絞り込んでから、入社試験や面接に行くことになります。そのようなやり方だと、その仕事が短期的によくなるか、よくならないかという条件で選びやすくなる傾向があるように思われます。

中島:そうなりますね。

羽生:もう1つの傾向としては、たとえば、天邪鬼に「自分はなんとなく適当にしよう」とか「人と全く違うことをやってみよう」という選択をしたとしても、マスの集団の大きな分布の中で見れば、確率的に収れんしてしまうので、1人か2人が何かちょっと変わったことをやろうが、やるまいが、あんまり関係ないところもあるのかな、とも感じています。

中島:平均値と分散、あるいは、どこまで外れるかという話は、いろんなところで耳にします。たとえば、芸術の分野でもそう。『運命』や『第九』を聞けば、大抵の人が「これ、ベートーベンの音楽だ」って、わかるじゃないですか。ただ、毎回、同じような音楽ばかり作曲してもつまらないし、だからといって、ベートーベンの作品の特徴から外れすぎてもダメなんですね。その点では、ベートーベンの作曲のなかにも「振れ幅」があるわけです。

羽生:なるほど。

中島:創造性って、なんか、そういうものだと思います。音の波形がノイズじゃいけないし、定型的でもいけない。じゃあ、どういう規則に従えばいいかっていうと、規則がないから、創造性なわけです。

羽生:微妙なバランスで成立しているのですね。

中島:文部科学省は「創造性教育」と言いますが、この言葉は形容矛盾だと思います。もし、教育できるようなら、それは創造性にならないと思うんです。最近、いろんな人が「イノベーション」という言葉を使っていますが、イノベーションは結果論なんです。後から見て初めてイノベーションだとわかる。狙ってできるものではない。なかには「オープンイノベーション」とか、とんでもないことを言っている人もいるようですが(笑)。

羽生:こればかりは体系化するのは難しそうです。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • ログイン
  • マイフォローとは?
nikkei BPnet 会員サービス
トピックを選ぶ!フォローする 自分のメディアを組み立てる! マイフォロー

ランキング一覧を見る

おすすめ情報【PR】

締切間近のセミナー