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【新連載】これからAIでできること、もうAIでできたこと(8/8ページ)

中島秀之(東京大学 特任教授)×松原仁(公立はこだて未来大学 教授) Part.1

2016.07.25

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働くのはAIに任せよう!

中島:それに、仕事はAIに任せて、人間は仕事しないで暮らせるようになったら、それっていいでしょ?

松原:そうですよね。

――仕事をしないでも暮らせるんですか?

松原:僕も中島さんと同じ意見なんですが、どうも世の中には、そう思っていない人が……日本人は真面目な人が多いんだろうか……。

――どういうことですか?

松原:最近、インタビューでよく聞かれるんです。「AIで仕事をしなくて済むようになったら、私たち、どうやって毎日を過ごせばいいんでしょうか?」って。

――そのインタビュアーの気持ち、よくわかります。

松原:僕が「毎日、楽しくてしょうがないじゃないですか」って言うと、「松原先生は楽しいんですか?」って、不思議そうに尋ねるので「やりたいことはたくさんあるから」って答えるんですが……。まあ、人類は長い歴史のなかで、生きながらえるために命がけで食料を外に取りに行ったりして、ずっと働き続けてきたわけですから、「もう働かなくていいよ」ってなったとき、不安になる気持ちは、わからなくもないんですが……。

中島:働いていた時間を趣味に使えばいいんですよ。

松原:そうそう。

中島:自動運転になったからって、「趣味で車の運転をしちゃいけない!」とは、言ってないわけだし。

松原:僕は、蕎麦打ちとか、好きだけどな。

中島:絵を描くとか。

――おふたりとも多趣味だから、そんなに簡単に言われますが……。

松原:「ベーシック・インカムを稼がせる」というのが、AIのいい使い方なんですよ。

中島:ヨーロッパかどこかの経済学者は、「AIから高い税金を取ればいい」って言ってます。AIが働いて納めた税金をほかの人に分配すればいいって。そうなると、社会保障制度も充実して、みんな働かなくてもOKになるかもしれない。

松原:そもそも日本の労働人口は、これからどんどん減るわけですから、いまの日本の生活水準をキープするためには、なんとかして労働力を確保して、生産性を担保しなければいけない。そうなると、嫌が応でも、外国から労働者に来てもらうか、あるいは、AIのロボットを増やすか、選ばなければならないわけです。

中島:そうなるね。

松原:そのことについては、きちんと覚悟を決めないと、日本の経済は縮小するしかない。日本では「AIが仕事を奪う」なんてところまでいかないと、僕は思っています。労働力が減っていく部分をAIやロボットが補ってくれて、ちょうどバランスがとれるんじゃないかって……そう考えているんです。

【次回予告】
 実用段階に入ったAIが、社会にどのような影響をもたらすのかについて語り合った中島氏と松原氏。二人はここから、「AIには困難で、人間にしかできないこと」という話題に移っていきます。次回は「AIの弱点」、そして、「AIが人類を滅ぼす映画『ターミネーター』の世界はやってくるのか」などについて、中島氏と松原氏の白熱した対談をお届けいたします。

中島 秀之(なかしま・ひでゆき)
中島 秀之(なかしま・ひでゆき)

東京大学大学院情報理工学系研究科 先端人工知能学教育寄付講座特任教授、公立はこだて未来大学名誉学長。1952年、兵庫県生まれ。1983年、東京大学大学院情報工学専門博士課程を修了後、同年、当時の人工知能研究で日本の最高峰だった電総研(通商産業省工業技術院電子技術総合研究所)に入所。協調アーキテクチャ計画室長、通信知能研究室長、情報科学部長、企画室長などを歴任。2001年、産総研サイバーアシスト研究センター長。2004年、公立はこだて未来大学の学長となり、教育と後輩の育成、情報処理研究の方法論確立と社会応用に力を注ぐ。2016年3月、公立はこだて未来大学学長を退任後、同年6月、同大学の名誉学長に。

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