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【新連載】これからAIでできること、もうAIでできたこと(3/8ページ)

中島秀之(東京大学 特任教授)×松原仁(公立はこだて未来大学 教授) Part.1

2016.07.25

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ワトソンはIBMの英知を結集した“総合芸術”みたいなもの

――ワトソンは?

中島:ワトソンの場合は「ジェパディ!」で勝つために特化してチューニングしたやつと、医療情報を扱うためにチューニングしたやつがあるよね。

松原:アルファ碁とワトソンは、そういう意味では違っていて、アルファ碁はディープラーニング(深層学習)が優れているけれど……。

中島:ワトソンは、従来の機械学習。

松原:ワトソンは、前の世代の人工知能の成果をうまく利用して、高級なパワーやプログラマーの動力など、IBMの英知を結集して“総合芸術”みたいに作った……っていうところだと思います。

中島:アルファ碁の方はディープラーニングだから、徹底的に、ものすごい時間をかけて学習させる。

松原仁(まつばら・ひとし):公立はこだて未来大学副理事長 システム情報科学部 複雑系知能学科教授。1959年、東京都生まれ。
1986年、東京大学大学院情報工学専門博士課程修了、同年、電総研に入所。1990年頃には、事例ベース推論(Case-Based Reasoning:CBR)の研究にも従事。中島秀之氏らの「協調」に関する研究にも協力している。
ロボカップ日本委員会会長、情報処理学会理事など、AI業界の要職を歴任。2000年、公立はこだて未来大学に着任して以降は、情報技術を用いた観光についての研究もしている。ちなみに、将棋はアマ五段の免状を持つ。

――どれくらいの時間をかけて学習させたんでしょうか?

中島:マシンが違うけど、計算量の一つの例として、スーパーコンピュータの「京(けい)」を何日くらいぶん回したかにたとえられたらいいんだけれど……アルファ碁は、何日かけたか、言ってないよね。

松原:ある論文に「高性能のGPUを数十台つなげて一週間程度」と書いてありましたね。

中島:それだけのリソースが必要となると、多分、ジェパディ!に使ったワトソンも、アルファ碁も、研究室ではやらしてくれないよね。

松原:「ネイチャー」のアルファ碁の論文を読んだら、結構いい論文で、わかりやすく書いてあるんですよ。ただ、追試しようと思っても、このコンピュータ・パワーはグーグルしか持っていないから、世界中で、誰も追試できないねって(笑)。

中島:最近、日本の人工知能囲碁プログラムの「Zen」がディープラーニングを入れたって聞いたけど、あれ、独自開発なの?

松原:独自開発だと思います。たしか、松尾豊(東京大学大学院工学系研究科特任准教授)さんが協力するって聞きましたが……。

中島:あ、そうなんだ。

松原:あと、山川宏(ドワンゴ人工知能研究所所長)さんが協力して、すごいGPU(Graphics Processing Unit)をドワンゴが提供して、Zenをアルファ碁より強くするっていう話もありますね。

中島:アルファ碁より強くなるのかな?

松原:なかなか大変だとは思うんだけど。

中島:アルファ碁は、グーグルだからできたんだよな。要するに、宣伝費ってことで、莫大な資金が調達できたわけでしょ?

松原:そう、宣伝費。

中島:ドワンゴだって、グーグルだって、宣伝費じゃないと、そこまでの研究開発費はかけられないよな。

松原:IBMもグーグルも、宣伝費となれば出せるでしょうからね。

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