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【新連載】これからAIでできること、もうAIでできたこと(2/8ページ)

中島秀之(東京大学 特任教授)×松原仁(公立はこだて未来大学 教授) Part.1

2016.07.25

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過去との違いは、とにかく「速い」こと!

――近年のAIの急激な進歩を考えるとき、5年前、アメリカのトリビアクイズ番組で、IBMのAI「ワトソン」が人間の歴代チャンピオンに勝利したことと、今年の春、グーグルのAI「アルファ碁」が欧州チャンピオンのプロ囲碁棋士を打ち負かしたことは象徴的な“事件”だと思うのですが、今までのコンピュータとワトソンやアルファ碁とは、いったいどこが違うのでしょうか?

中島秀之氏(以下、中島):とにかく「速い」ことですね。

――速い?

中島:やっぱり、コンピュータが圧倒的に速くなったっていうのが、大きな違いです。AIの碁や将棋が最近ものすごく強くなった最大の理由も、コンピュータが速くなったことでしょ?

松原仁氏(以下、松原):そうですね。

中島:あと、インターネットが本当に社会に浸透してきた。我々が以前、研究していた頃は「もしインターネットが浸透していたら」っていう前提でやっていたわけだけど……。

松原:そういえば、協調アーキテクチャーの例題に、中島さんはあの頃から「碁」を挙げていましたね。

中島:僕は、Prolog(※プログラミング言語)を扱い始めた頃から、碁のプログラムを作りたいって、ずっと思っていたんだけど、コンピュータが遅くて、どうしようもなかった。

松原:そういう意味では、将棋も碁も「基本的なコンピュータ・パワーさえ上がれば、なんとかなる」っていうのは、当時からわかっていたんですよね。

中島:昔は「遅いコンピュータでどうするか」っていう工夫をいっぱいやったよね。今になったら「あのときの苦労はなんだったんだ!」っていう話なんだけど。

松原:そうですね(笑)。

――では、ワトソンとアルファ碁は、同じAIでも、どこが違うんですか?

中島:アルファ碁は、碁に勝つためだけにつくられたAIです。

松原:あれは“碁”に特化してつくったAIだから、すごいっていえば、すごいんだけど……。

中島秀之(なかしま・ひでゆき):東京大学大学院情報理工学系研究科 先端人工知能学教育寄付講座特任教授、公立はこだて未来大学名誉学長。1952年、兵庫県生まれ。
1983年、東京大学大学院情報工学専門博士課程を修了後、同年、当時の人工知能研究で日本の最高峰だった電総研(通商産業省工業技術院電子技術総合研究所)に入所。協調アーキテクチャ計画室長、通信知能研究室長、情報科学部長、企画室長などを歴任。
2001年、産総研サイバーアシスト研究センター長。2004年、公立はこだて未来大学の学長となり、教育と後輩の育成、情報処理研究の方法論確立と社会応用に力を注ぐ。2016年3月、公立はこだて未来大学学長を退任後、同年6月、同大学の名誉学長に。

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