訪日外国人客が増えてインバウンド効果が高まっていることは望ましいのだが、次第に課題も見えてくるようになった。一つは、訪問地のバランスが固定化されていることだ。

 日本にやって来る外国人は、相変わらず東京や大阪、京都といった主要観光地に集まっている。もちろん、他の観光地を訪れる外国人もいるが、あくまでも大都市とその周辺地域の人気が高い。

観光客はストーリー性を求める

 では、どうして外国人は主要観光地に集中してしまうのだろうか。その理由を知るには、訪日外国人が何を目指して観光地にやって来るのかを理解する必要がある。

道南観光の起点の一つ、函館・五稜郭 (you_deacon/PIXTA)
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 外国人に限らず、観光客というのはストーリー性を求めている。日本人が国内旅行をする時も、たとえば「道南」と聞けば、すぐに一つのストーリーが思い浮かぶ。

 まず函館で五稜郭を見て、夜景を眺め、湯の川温泉に泊まる。翌日は駒ヶ岳を見ながら大沼国定公園に行き、さらに洞爺湖、支笏湖に向かう――といったルートだ。

 この観光コースは、実は慶應義塾高校の修学旅行が最初だったと言われる。それを日本交通公社(現JTB)がもらい受けて定番化されたという。

 慶應義塾高校が地理と歴史の知識を生かしてストーリーをつくり、その魅力が旅行会社を通じて日本中に広まり、道南観光を支えるストーリー性を形づくるまでに至ったというわけである。

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