アクセスのインフラ整備は重要な課題

 統合型リゾートの推進は、日本が本気でツーリズムの国になろうとしている意思表示にもなる。インバウンドを決して一時的なもので終わらせないためにも、今回の法律成立は、重要なステップになったと言える。

 さらに、統合型リゾートをきっかけとして、観光立国としてやるべきことを加速させていくことも重要だ。たとえば、アクセスのインフラ整備である。せっかく人を呼べるコンテンツができても、アクセスのインフラが不足していては意味がない。

 当面取り組むべき象徴的な課題は、クルーズシップターミナルの整備だろう。日本の港は貨物船の寄港を前提につくられているので、さまざまな使用制限が存在する。たとえば、クルーズ客船向けにカフェやジャズバーをつくることもできない。その点について、現在、福岡市が特区制度を活用してクルーズシップターミナルの改革に取り組もうとしている。

 また、港の運営における民間参画については、現状ではPFI(民間資金を利用した社会資本整備)と指定管理者制度の二重適用問題が存在する。この二重適用問題を解消することも必要となってくる。

 一方で、日本の港に来た外国クルーズ客船が、別の日本の港に寄ろうと思ったら、現状ではいったん外洋に出なければならないという問題もある。国内航路を通ることが許されていないからだ。これも理不尽な話だ。

 このように、本気で観光立国を目指すうえで、取り組まなければならない課題は山ほど存在する。それらをひとつずつ丁寧に解決していくことが求められており、統合型リゾートの整備も取り組むべき課題のひとつなのである。

竹中 平蔵(たけなか・へいぞう)
竹中 平蔵

 1951年、和歌山県生まれ。経済学博士。一橋大学経済学部卒業後、73年日本開発銀行入行、81年に退職後、ハーバード大学客員准教授、慶応義塾大学総合政策学部教授などを務める。2001年、小泉内閣の経済財政政策担当大臣就任を皮切りに金融担当大臣、郵政民営化担当大臣、総務大臣などを歴任。04年参議院議員に当選。06年9月、参議院議員を辞職し政界を引退。
 現在、東洋大学国際地域学部教授、慶應義塾大学名誉教授。公益社団法人日本経済研究センター研究顧問、アカデミーヒルズ理事長、株式会社パソナグループ取締役会長などを兼職。
 主な著書に『大変化 経済学が教える二〇二〇年の日本と世界』 (PHP新書)『バブル後25年の検証』(東京書籍、編著)など多数。