2016年の訪日旅行市場を振り返ってみたい。今年ならではのポイントとして、以下のような指摘ができる。

 昨年2000万人という訪日外国人数をほぼ達成し、その後も数だけ見れば前年比で20%も伸び続けているものの、インバウンド市場の量的拡大は必ずしもいいことづくめではないことが明らかになったことだ。本連載でも取り上げた無資格ガイド摘発や「ブラック免税店」問題、日本の海外プロモーションにおける多言語化や情報発信の課題などが露見した年でもあった。

インバウンド市場はまだら模様

 政府が2003年にVJC(ビジットジャパンキャンペーン)を打ち出し、外国人観光客の誘致を始めてから早13年。観光客が集中し、むしろその増加が地域社会で問題を生み始めているケースも見られる。一方、これだけ増えても、国内には外国人観光客の訪れていない地域はまだたくさんある。インバウンド市場はまだら模様で、その恩恵は地域によって明暗が大きく分かれている。これがもうひとつのポイントだ。

 一般にインバウンド市場には、以下のようなステージがあり、地域によってどの段階にあるかはそれぞれ異なっている。

「未開期」―海外市場における知名度がなく、訪れる外国人が少ない時期
「黎明期」―海外で知名度が生まれ、外国人が現れ始めた時期
「増加期」―外国人が前年比で大きく伸び始めた時期
「隆盛期」―国内外で外国人が多く訪れる地域として広く知られるようになった時期
「成熟期」―訪れる外国人数と地域の受け入れキャパシティがほぼ飽和し、観光の内実が多様化していく時期
「過多期」―外国人の受け入れキャパシティを超えることで、地域社会に問題が発生する時期
「減少期」―外国人からネガティブな評価が生まれ、減少傾向がみられる時期

 その地域がどの段階にあるかで、抱える課題や目指すべき方向性は異なり、打つべき手も違ってしかるべきである。とりわけ海外で知名度がなく、訪れる外国人が少ない「未開期」の地域は、客観的に見て弱みを抱えている。訪日路線が乗り入れる空港や客船の寄航する港から離れている場合がほとんどだ。では、このような「知名度がなくアクセスも悪い」地域では、どうすれば効果的な誘客プロモーションができるのだろうか。

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