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 初夏の行楽シーズンが到来し、JTBをはじめとした各種旅行調査機関による2016年ゴールデンウィークの旅行動向は、熊本地震による九州方面への影響はあったものの、国内・海外ともに堅調だったという。今年1~3月までの訪日外客数も過去最高を更新し続けており、国内旅行の先々で多くの外国人観光客を見かけたことだろう。

 特に今年は、これまで以上に全国各地の行楽地や宿泊施設で外国客と遭遇する機会が増えたと感じた方も多かったはずだ。しかも、以前であれば、日本人しか訪れなかったような見どころや評判の飲食店でも、外国人の小グループを見かけたりはしなかっただろうか。

上海の書店に並ぶ「るるぶ」中国語版

 「どうして彼らはこの店を知っているのだろう?」

 3月中旬の上海出張の折、筆者はその理由の一端を知ることになった。現地の書店で日本の旅行ガイド「るるぶ」の中国語(簡体字)版が販売されているのを見かけたからだ。

上海の書店で平積みされる「るるぶ」中国語版シリーズ
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 JTBパブリッシングの発行する「るるぶ」は、「見る」「食べる」「遊ぶ」ためのコンテンツを充実させたガイドブックシリーズで、創刊は1984年。読者ターゲットは、20代後半から30代の女性で、最も積極的に旅行を楽しむ層とされる。国内、海外のシリーズが多数発行され、2000年代以降は「練馬区」「港区」といった狭域版まで、さまざまな旅行ニーズに合わせて商品化されてきた。この30年間の日本人の旅トレンドを牽引してきた媒体のひとつといえるだろう。2010年には4000タイトルを超え、「発行点数世界最多の旅行ガイドシリーズ」(Longest book series-travel guides)としてギネス世界記録にも認定されている。

 同シリーズが置かれていたのは、上海市内の地下鉄中山公園駅のそばにある新華書店。それほど大きな店舗ではないが、店頭に旅行書籍のコーナーがあり、「東京」「京都」「九州」「北海道」「沖縄」が平積みされていた。

旅行書籍コーナーには、全世界を網羅した海外旅行書が並ぶ
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 中国側の発行元は、現地で旅行書籍を多数刊行している中国旅游出版社だ。同社版では「走(歩く)看(観る)玩(遊ぶ)」と日本版とは若干ニュアンスを変えているが、『OMOTENASHI Travel Guide』シリーズとして正式に発売されていることがわかる。

中国旅游出版社のホームページには、「るるぶ」中国語版の5タイトルが紹介されている。いまの中国は、かつてのような海賊版が大手を振る時代ではない
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 同シリーズは、訪日中国客のために、もともと日本の読者向けにつくられたガイドブックを翻訳したものだ。このガイド書を購入した中国客は、日本人と同じ見どころや飲食店を知ることになるのである。

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