2015年の訪日外国人旅行者数が2000万人まであとわずかに迫り(約1974万人)、観光庁調査による外国人の旅行消費額も前年に比べ71%増の約3.5兆円。そのうち中国人1人当たりの支出が国別トップの28.4万円と、中国客の旺盛な購買力が相変わらず目立った。

 その一方で、中国経済の減速は日増しに現実のものとなり、建設・工作機械や電子部品の対中輸出がマイナスとなるなど、対照的な経済指標も続出している。

 今後の「爆買い」の行方はどうなるのだろうか?

「爆買い」の陰の立役者

「爆買い」の陰の立役者ともいわれる鄭世彬氏

 中華圏の旅行者が多く日本を訪れる春節(中国の旧正月。今年は2月8日)を前に、「爆買い」の陰の立役者といわれるひとりの台湾人を紹介したい。

 1980年台南生まれの鄭世彬(チェン・スウピン)氏 は、これまで日本の医薬品や化粧品、美容・健康商品などを紹介する9冊の解説書を台湾で刊行してきた。その一部は中国でも簡体字版として発売された。

 「日本薬粧(医薬品と化粧品)研究家」として、いち早く中国語圏に向けてこのジャンルに特化した情報を発信し、それがネットで広く拡散したことが、中国客のドラッグストアなどでの「爆買い」を誘引したといわれる。

鄭世彬著『爆買いの正体』(飛鳥新社、2016年2月13日発売予定)

 2月中旬、鄭氏は日本で初めての著書『爆買いの正体』(飛鳥新社)を上梓する(筆者は構成を担当)。同書で描かれる「爆買い」の舞台裏は、我々がメディアを通じて抱いてきたイメージとはずいぶん異なるものだった。

 自らも「爆買い」客だという鄭氏に、日本人の知らないその真相を語ってもらった。今回はその前編。

日本の医薬品や化粧品などを詳細する鄭世彬氏の書籍
[画像のクリックで拡大表示]
Next:「台湾人は1990年代から「爆買い」していた!?」