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職場を生き抜け!ビジネス

「電通事件」は繰り返される(3/6ページ)

2016.12.14

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ストレス耐性が弱い社員でも責任は会社にある

Q (前回の記事で取り上げた)「やりがい搾取」と関係があるのかもしれませんね。「私は東大を卒業し、電通に入った。だから、ここで負けてはいけない」と自らを鼓舞する背景には、「やりがい搾取」をされているがゆえに、会社に不満をより強く感じ、「こんなはずではなかった」という失望感があるように思えるのです。
 失望感の次に現れるのが、「精神疾患に至る前段階」です。たとえば、上司との人間関係で強いストレスを感じたりすることです。そして、死にいたる引き金をひくのが「長時間労働」ではないか、と私は想像しているのです。どのように思われますか?

 今回の高橋さんのことで私が把握しているのは報道されている範囲のことでしかありませんから、一般論としてお答えします。歯車がかみ合わなくなる一因を、職場や会社が、上司たちがつくっていることはありうる話です。その意味での歯車は、何かの弾みで簡単に壊れてしまうことはあるのです。

 多くの人は社会人となり、はじめて会社に入社し、数年以内に人間関係の序列などを感じ取っていくものです。そのプロセスで、上司などとの人間関係に関わるトラブルに巻き込まれる人はいます。

 あるいは、「不本意入社」として入ったものの、数か月も経つと、人間関係などに強いストレスを感じようになり、精神疾患となったケースもあります。社員寮に入り、しばらく生活をしていたのですが、ストレスをしだいに抱え、うつ病になった人もいます。

Q 今回のような問題が起きると、多くの人が「死にいたった人は、もともと、ストレス耐性が弱かった」「精神的なもろさがあった」と思い込んでいるふしがあるように見えます。「長時間労働とは直接の関係がない」と言いたいのかもしれません。

 長時間労働が、精神疾患などを引き起こす一原因となりうること、精神疾患発症の結果、自死のリスクが高まることは、医学的にはある程度解明されています。

 労災事件では、死亡の結果は本人にもあるのではないかといった反論がなされることは少なくありません。つまり、その労働者は精神面でもともと弱さを抱え込んでいて、それがたまたま、その職場で精神疾患になったというとらえ方です。

 労働者の生まれながらに持っている資質としてのストレス耐性について言えば、たしかに個人差はあるでしょう。しかし、ストレス耐性が弱かったとしても、日本人の労働者の平均的な範囲内にとどまる限り、会社はその人を雇った以上、過労自殺に対する責任があるとするのが裁判例の一般的な傾向だと思います。

 また、人生上り坂の時もあれば、プライベートなどで困難を抱える時期もあります。プライベート等の問題もそれが一般的にみて大きなストレスになる場合を除き、会社の責任を軽減する要素にはならないとするのが労災実務や裁判例の傾向です。

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