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職場を生き抜け!ビジネス

電通に自浄作用を期待するのは難しい(8/8ページ)

2016.11.30

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「死亡するとは思っていませんでした」という上司

Q かつての電通事件でもそうですが、上司などが部下に「仕事をしろ」と命じておきながら、労働時間を把握していないならば、怖いことです。

 実際、私が関わった裁判では、会社の側がこう主張したことがあります。

「フレックスタイム制度を採用しており、過労死で亡くなった社員の労働時間は把握できていませんでした。だから、死亡するとは思っていませんでした」

 前々から、このような主張をする会社はありました。裁判では、労働側の代理人(弁護士)との間の争点の1つによくなります。

 いまは、多くの会社でフレックスタイム制度や裁量労働制度が採用されています。しかし、この制度をもって、「社員の労働時間を把握しなくともいい」とは、本来なりえないのです。あるいは、「管理職なので労働時間を把握していない」という主張もよくあります。

 人事部などが社員の割増賃金、つまり、残業代を計算するときには、「裁量労働制度があり、労働時間を把握していない」という言い分があったとしても、会社は労働安全衛生法にもとづき、労働者の安全衛生の管理に配慮をする義務があるのです。

 「過労死で亡くなった社員の労働時間は把握できていませんでした。だから、死亡するとは思っていませんでした」という言い分は、社員への安全衛生配慮義務を放棄しているようなものです。

 かつての電通事件でも、この労働時間のあり方やその管理、さらに安全衛生配慮義務違反が争点になっています。

 次回掲載の記事では、和泉弁護士のとのやりとりがさらに深いものに進んでいきます。

 かつての電通事件の判決の内容などは、下記でご覧いただけます。

〇厚生労働省
https://kokoro.mhlw.go.jp/case/634/
〇大阪過労死問題連絡会
http://www.osaka-karoshi.jp/important/116/

吉田 典史(よしだ・のりふみ)
吉田 典史(よしだ・のりふみ)

 1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006年以降、フリーランスに。特に人事・労務の観点から企業を取材し、記事や本を書く。一方で、事件・事故など社会分野の取材を続ける。
 著者に『封印された震災死その「真相」』(世界文化社)、『震災死 生き証人たちの真実の告白』『あの日、負け組社員になった…』(ダイヤモンド社)、『悶える職場』『非正社員から正社員になる!』(光文社)、『ビジネス書の9割はゴーストライター』(青弓社)など。近著に『会社で落ちこぼれる人の口ぐせ 抜群に出世する人の口ぐせ』(KADOKAWA/中経出版)がある。
 連載「職場を生き抜け!」は、『いますぐ「さすが」と言いなさい!』(ビジネス社)や『仕事なんかするより上司に気を使えよ (働く・仕事を考えるシリーズ)』(労働調査会)にまとめられている。
 雑誌では、『先見労務管理』(労働調査会)、『プレジデント』(プレジデント社)、『週刊ダイヤモンド』(ダイヤモンド社)、『週刊東洋経済』(東洋経済新報社)などで執筆。

Twitter:https://twitter.com/Yoshidanorifumi
https://twitter.com/Katigumi2
ブログ:http://plaza.rakuten.co.jp/yasushinori/

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  • 1.ちょっかく2016.12.02

    過労自殺といじめ自殺をした人の親について調査をしてほしい。
    おそらくある種の共通点が浮かび上がってくると思う。


    それともうひとつ。
    「無知無学無能を武器にしない」ということを常識にするような社会になったらよいのになと思う。
    8ページに書かれているような会社や上司はきっと減る。

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