トップ > 職場を生き抜け! > 電通に自浄作用を期待するのは難しい

職場を生き抜け!ビジネス

電通に自浄作用を期待するのは難しい(2/8ページ)

2016.11.30

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

「電通事件」に横たわる5つの問題

 まず、この事件で注目すべきは、次に挙げた(1)~(5)までの複数の原因が重なって発生している点だと思います。かつての「電通事件」(※)と共通する部分もありますが、異なる部分もあります。

(1)長時間労働
(2)ステータスのある職場で横行する、いわゆるやりがい搾取。
(3)入社1年以内の自殺の相談は相変わらず多い。また、過労「自殺」に限って言えば、若年労働者に多く見られる。
(4)かつての電通事件においても問題視されたパワハラ、アルハラ。
(5)女性的であると同時に男性的であることを求められる女性労働者。

 報道やそれに載る弁護士のコメントなどでは、労働基準監署の調査や長時間労働に対する法規制が取り上げられることが多いですが、これら(1)~(5)のすべてにメスを入れることは難しいのではないかと考えています。

 むしろ、企業の隠ぺい体質を助長する結果となったり、労働者を請負契約にして法適用を免れようという流れが加速することになる可能性も十分あります。そういう意味で、「立法で長時間労働を規制せよ」という意見自体に反対はしませんが、それだけで足れりという意見であれば疑問だと思っています。

 過労自殺を止めるためにはどうすればいいか、国の施策、会社自らが取り組むべき改革、労働者自身による自衛、様々な方法が考えられます。本当の意味で実効性を担保するためには、その職場をよく知っている労働者自身が職場を変えたいと願い、自らの手で職場のありかたを考え直すという要素がどうしても必要だと思います。

 労働組合でも、ユニオンでも、NPOでもいいのですが、職場の労働者自身が自分の職場を変えたいと思わなければ本当の意味で日本の職場はよくならない。そこが、この問題の難しいところなのだろうと考えています。

※【電通事件】
 1991年、電通に入社し、ラジオ局ラジオ推進部に勤務していた2年目の男性社員(当時24歳)が自殺した。遺族は長時間労働により、うつ病を発生したことが原因であるとして、会社に対し、損害賠償請求を起こした。電通側は、うつ病発症は社員と家族との関係や、交際する女性との関係などによるものと主張した。2000年、最高裁で、加重労働とうつ病、自殺の因果関係を認め、電通が損害賠償をすることを認めた。電通が遺族に謝罪をするとともに、1億6800万円の賠償金を支払うことで和解し、結審した。なお、1998年には、労災認定がされている。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • ログイン
  • マイフォローとは?
nikkei BPnet 会員サービス
トピックを選ぶ!フォローする 自分のメディアを組み立てる! マイフォロー

ランキング一覧を見る

おすすめ情報【PR】

締切間近のセミナー