「ひとりの命は会社よりも軽い」

 大手広告会社・電通に勤務していた20代前半の女性が「過労自殺」をしたことをここ数週間、多くのメディアが報じました。首相や厚生労働大臣、経団連会長などもそれにともなう発言をしています。有識者も自説を盛んに展開しています。

(写真:PIXTA)

 電通をはじめ、多くの企業が今後、残業のあり方を大胆に変えていくのかといえば、その可能性はゼロに近いと私は考えています。数カ月以内に、このムードや空気は必ず変わります。半年後には、多くの人の中で「そんなこと、あったっけ…?」となるはずです。1年後には、大半の人の意識から忘れさられ、3年後には話題にすらならないでしょう。

 ひとりやふたりの社員の死で、巨大なエクセレント・カンパニーが大きく変わることはありえないのです。残念なことに、「ひとりの命は会社よりも軽い」のです。変わるとしたら、会社を取り巻く環境、特に業績に悪影響を与えるようなものが相当に強く働いたときのみです。会社を社内から変えることは不可能に近く、外からの圧力でしか、変えることができないのです。

 変えないようにしているのは、そこで働く人たちであり、その人たちの意識です。前回の記事で書いたように、この意識こそが「過労死」や「過労自殺」を繰り返し生んでいくのです。