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職場を生き抜け!ビジネス

電通の「過労自殺」議論で、抜け落ちていること(4/10ページ)

2016.10.19

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過剰労働で、重い脳障害を患った、超エリート社員

 ほかの「過労死」や「過労自殺」、「長時間労働」で、私が強く印象に残っているケースが2つあります。

 1つは、10年前の2006年、人事労務の雑誌で、ある弁護士の講演を取材したときに知ったものです。その弁護士はほかの弁護士らとともに、1990年代半ばから、三菱重工業の長崎研究所で起きた労働事件(実質的には、「過労死事件」)を扱っていたのです。

 長崎研究所室長の男性社員が、1990年代の半ばに、脳に重い障害を負ったのです。その原因は、「過重労働が原因」として、三菱重工業に謝罪と損害賠償を求めていた労災事件でした。最終的に、三菱重工はこれに応じ、和解合意が成立したのです。

 弁護士から話を聞くほどに、上司たちは、この社員に激しいいじめをしていたように私には思えたのです。男性社員は、学歴・職歴とも超トップレベルでした。すさまじいほどにエリートなのです。

 上司からの指示などで、仕事の量は膨れあがり、残業が増え続けます。休日出勤も増えます。私の受け止め方では、上司はこのエリート社員がつぶれるように、あえて過剰な労働をさせていたのではないか、と感じたほどです。つまりは、嫉妬心やねたみなどです。

 男性社員とその妻の闘いにより、ついに会社は非を認め、上司らも形式上の謝罪をしたのです。私は当時、30代後半で、取材者としてビギナーの域を出ていなかったこともあり、弁護士の話の最中、涙が出そうになりました。この夫婦と弁護士らへの敬意とふるえるような感動で、冷静ではいられなくなったのです。

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