「部下への指摘」という名の「憂さ晴らし」

 10数年前、ネットのチャットを使い、面識のない人たちに盛んに不満をぶちまけていた時期があります。たしか、1999年~2002年の頃でしょうか。要は、現実からの逃避であり、甘えていたのでしょう。こんな愚かな行為は会社員だからこそ許されるのであり、自営業や小さな会社の経営者には、そんな余裕はないはずです。

 今回は、気にいらない人の揚げ足を取ることに熱心な人たちをテーマに取り上げます。みなさんの職場にも、このような人はいないでしょうか。機会あるごとに、優秀な人や個性的な人、潜在的な能力の高い人などの足を引っ張る人たちです。特に、上司や先輩にいるのではないでしょうか。この人たちはもっともらしいことを言いながら、部下や後輩を苛め抜き、不満や劣等感を晴らそうとしているのです。

 例えば、昨年の暮れ、大手通信教育の会社(社員数800人)の、ある部署の隅に設けられたコーナーに2時間ほど、私はいました。この会社が年に数回発行する冊子で、数ページの特集を書いていたのです。その打ち合わせをしていました。フロアでは、40代後半と思える部長が、30代前半とおぼしき男性が話す内容に、盛んに突っ込みをいれていました。10メートル以上離れたところにいる私にも、そのやりとりが聞こえるほどの大きな声でした。いずれも、部長が口にしていた言葉です。

「この前、言ったよね?」
「また~、君は懲りないねぇ~。(俺に)何度も、同じことを言わせないでよ。この人(30代の男性社員)の言っている意味が、わからない。彼(30代の男性社員)の言っていることが、(同じ部署の女性社員に質問をするしぐさで)わかる~?」
「わかんないよね。俺のような凡人には、わからない。理解不能…」

 こんな調子で15分ほど、続きます。私は、憂うつな気分になりました。「部下への指摘」という名の「憂さ晴らし」にしか思えなかったのです。