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梶原しげるの「プロのしゃべりのテクニック」ビジネス

浅田真央と岸朝子、その言葉遣いが浮き彫りにした日本語の「伝統」(1/5ページ)

2015.10.15

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1年半ぶりの復帰で「ただいまです」の浅田真央

 フィギアスケートの女王、浅田真央さん、1年半ぶりの「復活」。そして料理評論家、岸朝子さんの訃報。喜びと悲しみ。まるで関係ないようでいて、実はある「キーワード」でつながっていた……。

 2015年10月4日、日曜日の新聞が久々に彼女の晴れやかな姿を報じた。

 「ただいまです」(朝日新聞)

 トリプルアクセル決めた 浅田「ただいまでーす」(東京新聞)

 真央「ただいまです」(東京中日スポーツ)

 浅田真央「ただいまです~」553日ぶり笑顔リンク(日刊スポーツ)

 一般紙・スポーツ紙を問わず、競技終了後のインタビューで浅田選手が笑顔で発した第一声を見出しにしていた。

 「<ただいま>に<です>をくっつけたこの言い方、おかしくないか?」。クレームをつける無粋なメディアは私の見たところ皆無だ。

(写真 digi009/PIXTA)

 「ただいま」+「です(「だ」の丁寧語)」は“伝統的”な表現ではない。「ただいま」は「感動詞」と辞書にある。感動詞には「感動、声かけ」とともに「あいさつ表現」も含まれるらしい。実際の言葉例をいくつか挙げてみよう。

 感動→「おや」「ほー」「なるほど」
 声かけ→「もしもし」「お疲れ」
 あいさつ→「おはよう」「こんにちは」「こんばんは」「ただいま」

 これらの「感動詞」に+「です」はあまり「しっくりこない」感じがするがどうだろうか。「感動詞」+「です」の例をひねり出した。

 「おや・です」
 「ほー・です」
 「なるほど・です」
 「もしもし・です」
 「お疲れ・です」
 「おはよう・です」
 「こんにちは・です」
 「こんばんは・です」

 このうち「なるほど・です」は「なるほど・です・ね」という形態で「賛成を表す相槌の言葉」として使われる。「誤用だ」という人もいるが三省堂国語辞典には載っている。「感動詞」+「です」を頭から「誤用」と決めつけるのは「狭量」かもしれない。

 「お疲れ・です!」は「お疲れ様です」のカジュアルな言い方「お疲れさん」の変化系「お疲れ・でーす」として耳にすることがある。「定番のねぎらい言葉」となっている職場もありそうだ。「こんばんは・です」は北国のあいさつ「おばんです」と似ていなくもない。

 しかし浅田選手の「ただいま・です」は寡聞にして聞いたことがないし、辞書にもない。

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