「平板化」が進むアクセント

 「梶原ほどではないにせよ、ひょっとして自分も『アクセントのオヤジ化現象』が進んでいるかもしれない……」などとお思いの方のため、変化したアクセントを幾つかご紹介していこう。

 アクセントの変化を知ることで、世の中の、特に若い世代の意識や生活様式の変化まで見えてくることだってあるかもしれない(ないかもしれないが……)。少なくともテレビでニュースを伝えるアナウンサーたちに、「ツッコミを入れる楽しみ」を増やしてくれそうだ。

 まずは「平板化」。外来語の平板化については今さらすぎるから控えるが、今回の改定では69語が「平板型」として追加されている。

 例えば、「ナレーター」「ユーザー」「キャラクター」「スピーカー」「グラス」など。「本来なら……伝統的には……正しくは」との枕詞とともに「ナ《レー》ター」と中高(真ん中部分を高く発音。※本文中、高く発音する文字を《 》でくくりました)にせよ!、「《ユー》ザー」と頭高(言葉の冒頭部分を高く発音)にして「英語の原音に近いアクセントとすべきだ」という声も、今ではあまり聞かなくなった気もする。

 私も「いいんじゃね?」と、平板に淡々と感想を述べることが増えてきた。「オヤジ化」というより、高齢化による「無気力化」のせいかもしれない。

 ところが「漢語」の平板化、例えば「国際法」が改定前には「コ《クサ》イホー」と「中高」アクセントがごく普通に存在していたものが今回は削除! 「コクサイホー」と平板に一本化された事態には少々戸惑った。司法書士の友人に聞いたら「ずっと前から平板じゃないですか?」と言われてしまったが。

 「国際法」など日常生活であまり使わないから「別にいいや」とも思ったが、生活に密着して頻繁に使う言葉たちが、頻繁に使われるからこそかもしれないが「平板化」に向かっている、らしい。

 例えば「化粧水」は「ケ《ショ》ウスイ」、「試写会」は「シ《シャ》カイ」、「茶話会」は「サ《ワ》カイ」という“伝統的な”中高だけでなく、「ケショウスイ」「シシャカイ」「サワカイ」と、起伏をつけない平板型が、第2選択ながら採用されている。

 かつて「シシャカイ」と平板で発音する後輩アナウンサーに、「君、出身どこだっけ?」と嫌味な言い方をした、かもしれない私。今そんなことを言うと「参ったなあ、このオヤジ」とあきれられる可能性もありそうだ。

 「謝恩会」「芋煮会」「世界史」「断熱材」「しめさば」「練り物」「茹で麺」など、ごくごく身近な言葉の“平板型”が辞典に加わり、ニュースではたびたび登場する「護衛艦」も「ゴ《エ》イカン」と中高だけが「正解」というわけでもなく、「ゴエイカン」という平板アクセントも採用された。