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和田秀樹 サバイバルのための思考法ビジネス

ITが変えたアメリカ人のパーソナリティ(5/5ページ)

2016.12.20

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アメリカとは逆の道を歩む日本

 私は、この逆転現象が今後もっとひどくなるとみている。

 勤勉で時間に正確なアメリカ人は、初等中等教育改革の成果だろう。

 60年代に過度に自主性を尊重する、アメリカ版のゆとり教育のようなことをやって、深刻な学力低下に見舞われたアメリカは、レーガンが全米の学力調査を施行し、その結果を受けて、日本に倣った、計算や詰め込み重視の教育改革を行った。

 その教育を受けてきた人たちがUberやLyftの担い手である。

 それに対して、日本はゆとり教育をやり、それを廃したと思えば、またゆとり教育派が巻き返して、2021年の春からは東大を含めてすべての国立大学がAO入試化する。それをしないと予算を減らすと文部科学省が脅しをかけるような答申を出しているから、その通りになるだろう。

 テストの点が悪くても、面接や小論文で合格できるようになるのだ。入学希望書の作文などプロにやらせることだってできるが、それも採点の対象になる。

 格差社会化が深刻化し、消費不況も続いている。いいものでも高ければ買わないし、モデルチェンジしても買わないという買い控えはやみそうもない。年金をどんどん減らしていったり、介護施設を増やさなかったりという形で将来不安が強まれば、なお、これが深刻化するだろう。

 そして、Uberが白タクにあたるとかいって、緑ナンバーの車にしか認められないかと思ったら、民泊にも規制をかけて、180日以上やってはいけないと決まるそうだ。

 会社が首を自由に切れるような雇用規制の緩和をやるのに、一般市民の副収入が増えるようなことには、既得権益に遠慮してがっちり規制をかけたままだ。

 しかし、人間というのは不思議なもので、貧しいときや落ち目のときのほうが、もっと落ちたくないと保守的になる。

 アメリカは、その是非はおいておいて、変わろうとしてトランプを選んだ。日本は当分は自民党政権のままだろう。

 外国を知らないから、日本の落ち目は気づかれないが、ITの恩恵を最も受けていない国になっているのではないかとお先が真っ暗な気がしてしまうのは、私の被害念慮だろうか?

<お知らせ> 長年にわたってnikkeiBPnetでお届けしてきた、和田秀樹の「サバイバルのための思考法」は今回で終了となります。和田コラムは、2017年からは新たに日経ビジネスオンライン(http://business.nikkeibp.co.jp/)にて再スタートしますので、乞うご期待ください。

和田 秀樹(わだ・ひでき)
和田 秀樹(わだ・ひでき)

 精神科医。1960年生まれ。東京大学医学部卒、東京大学附属病院精神神経科助手、アメリカ・カールメニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、『和田秀樹こころと体のクリニック』院長。国際医療福祉大学大学院教授(臨床心理学専攻)。一橋大学経済学部非常勤講師。川崎幸病院精神科顧問。老年精神医学、精神分析学(とくに自己心理学)、集団精神療法学を専門とする。『テレビの大罪』(新潮選書)『人は「感情」から老化する』(祥伝社新書)など著書は多数。

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