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和田秀樹 サバイバルのための思考法ビジネス

トランプ勝利の精神風景(7/7ページ)

2016.11.22

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変化の希望がない格差社会はあきらめしか生まない

 むしろ、私は今回の選挙結果をみて、日本人の臆病さのほうが気になった。

 安倍政権は、成立して4年になろうとしているが、多少の失業率の改善を除いて、大きな経済成長にいたっていないし、新産業もほとんど生まれていない。そして、非正規雇用の増大と貧富の格差、都会と地方の格差は確実に広がっている。最近になって、田中角栄の再評価ブームが起こっているのも、角栄政権時代に、いろいろな意味で格差が縮小し、経済が拡大していったことへのノスタルジーがあるのだろう。

 にもかかわらず、国民はもっとダメになるのを恐れて、選挙では圧倒的に安倍自民党が強い。

 もちろん、民進党を含め、格差社会への不満のはけ口の政党がないという問題もある。

 小池都知事人気をみても、変えてくれそうならものすごい支持が集まるというのにだ。

 日本国民が変化を恐れるのか、それとも、その受け皿がないから変化のさせようがないのかはわからないが、変化の希望がない格差社会は、あきらめしか生まない。

 対GDP比で先進国の中でもっとも少ない生活保護支出だというのに、生活保護バッシングが起こったように、不満のはけ口が、より弱者に向かう構造がなんとなく定着しつつある。

 イギリスのEU離脱に続き、トランプ当選に驚くより、日本でも「変化」を求めるうねりが強まってくれることを願ってやまない。

和田 秀樹(わだ・ひでき)
和田 秀樹(わだ・ひでき)

 精神科医。1960年生まれ。東京大学医学部卒、東京大学附属病院精神神経科助手、アメリカ・カールメニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、『和田秀樹こころと体のクリニック』院長。国際医療福祉大学大学院教授(臨床心理学専攻)。一橋大学経済学部非常勤講師。川崎幸病院精神科顧問。老年精神医学、精神分析学(とくに自己心理学)、集団精神療法学を専門とする。『テレビの大罪』(新潮選書)『人は「感情」から老化する』(祥伝社新書)など著書は多数。

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