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和田秀樹 サバイバルのための思考法ビジネス

精神科の病気をタブー視する文化(4/6ページ)

2016.11.08

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うつ病と躁うつ病は違う種類の病気

 今回、あえて双極性Ⅱ型という病名の可能性を書いたのは、2年前から精神科の診断基準が変わり、うつ病(うつ病性障害)と躁うつ病(双極性障害)は違う種類の病気と考えられるようになったことを知ってほしいという意味がある。双極性障害の患者さんの鬱状態の際に、通常のうつ病の薬を使うとなかなか治らなかったり、逆に躁状態になってトラブルや犯罪を起こしたりすることもある。双極性障害にはⅠ型とⅡ型があり、Ⅰ型は通常の躁うつ病なのでわかりやすいのだが、Ⅱ型は躁のときでも、ちょっとハイテンションとか、治ったように見えるレベルなので、わかりにくいという問題点はある。

 これは立派な病気なので、違っているかもしれないが医者に行ったほうがいいし、「本当は怖い」などといって、一万人とか十万人に一人しかかからない病気を紹介して人々を不安にするより、本当の病気である可能性が少なくとも10%はあるし、だとしたら治療したらよくなる可能性が高いということを知らせたかったのだ(週刊誌のコメントでは、ゼロとは言えないと書いたが、実はそのくらいの可能性と思っている)。つまり当てはまっていたら医者に行く価値があるのである。そのほうが風邪で医者に行くより、はるかにグローバル・スタンダードだと言える。

 現実に、昔、ノルウェーのボンデヴィックという首相がうつ病を国民に告白して、休職したことがある。約1か月で復職し、それ以降は立派に首相の務めを果たした。それによって、うつ病で医者に行く抵抗が弱まり、またうつ病は治療すれば治る病気だったことが国民に知れ渡ったため、治療を受ける人が増えた。もともとノルウェーは自殺の多い国だったが、今は日本よりかなり少ない。

 現首相ももし本当はうつ病だったとしたら、国民に正直に言ってもらったほうが、国民の病気に対する認識も、治療すれば治るという事実も知れ渡り、確実に自殺が減るだろう。違っていてもお芝居でやってほしいくらいだが、それができないのは、ご本人にそれが恥ずかしい病気という意識があるか、国民の差別意識を知っているからだろう。

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